試合レポート

東海大山形vs明桜

2016.06.11

明桜が21安打18得点の猛攻で、東海大山形との乱打戦を制する!

東海大山形vs明桜 | 高校野球ドットコム

有方(東海大山形)

 最初は明桜ペースで試合は進んでいたが、お互いの打者が持ち味を発揮する打撃戦となる。まず先制したのは明桜。一死二塁から小川洋(2年)の適時二塁打で1点を先制すると、5番前田幹人(3年)の左中間を破る適時二塁打で2点を先制した。そして1回裏に1点を返され、2回表には打者一巡の攻めで、一気に5点を奪い、試合を優位付けたかと思えた。

 だが3回裏、東海大山形は一死二、三塁から4番有方琢眞(3年)が右中間を破る適時三塁打を放ち、2点を返すと、4回裏には打者10人、6安打の猛攻で、一挙5点を入れて逆転に成功する。

だが5回表、明桜は1番東内凜(3年)の適時打で同点に追いついたが、再び東海大山形が2番森田啓介(3年)の適時打、有方の適時打、5番藤井拓生(3年)の適時打で一気に11対9と逆転に成功。

 5回まで11対9と凄まじい攻防となった。明桜も6回表に内野ゴロの間に1点を返すと、さらに8回表には6番松本力也(1年)が左中間を破る適時二塁打で11対10と1点差に迫る。試合はいよいよ9回表、東海大山形は背番号1の有方がマウンドに登る。

  有方は182センチ79キロと恵まれた体格から振り下ろす常時140キロ前後(最速142キロ)のストレートとキレのあるスライダーが光る好右腕。投球フォームを見ても、コンパクトなテークバックからフィニッシュに入るまでが実にスムーズで潜在能力の高さが光るが、明桜打線が有方を捉え、一死二、三塁から代打・岩城圭悟(2年)が左中間を破る適時二塁打で逆転に成功。その後も、打者12人の攻めで、一挙8点を奪う猛攻で、18対11と試合をひっくり返した。

明桜東海大山形の反撃を1点に抑え、見事に乱打戦を制し、ベスト8へ駒を進めた。


東海大山形vs明桜 | 高校野球ドットコム

東内(明桜)

 試合を振り返ると、明桜は5打数3安打4打点の1番東内凜の活躍が光った。177センチ79キロとアスリート体型の大型外野手で、打者としてのポテンシャルは非常に高い。どの方向にも長打が打てて、ツボにはまればスタンドインも期待出来る右打ちの外野手で、明桜はどの選手も強い打球を打てていたが、その中でも東内の打撃の確実性、守備力の高さ、走塁能力の高さはずば抜けていて、総合力では一番の選手だろう。

 もともとそれほど体は大きくなかったようだが、1日に2700グラムの食事を摂るということを徹底し、現在の体型となったようだ。チームとして心掛けていることは強く振ること。東内は強く振ろうと意識しすぎて、それが力みとなってなかなか思うような打撃ができなかったが、最近になり、力まなくても自然と強く振れる感覚を掴んでいったようだ。また先制打を打った小川、勝ち越し打を打った岩城を始め、活躍する2年生が多いのも魅力。打の明桜として今後も注目される存在になることは間違いない。

 敗れた東海大山形は、投手力と守備力に課題を残したが、打撃力は非常に高いものがあった。5打数3安打4打点を記録した有方。1番で、5打数3安打2打点と東海大山形河合海斗だろう。有方も、スクエアスタンスで構え、ゆったりと左足を上げてから、踏み込んでからの強烈なスイングが光る右打ちの強打者。投打ともに身体能力の高さが光るが、どちらに自信があるかと言えば打撃。140キロ台を投げる地肩の強さを持った選手であり、さらに脚力もある。走攻守三拍子揃った大型外野手として夏の注目野手に挙がりそうだ。

 河合は昨年12月に山形県選抜に出場した巧打堅守の遊撃手。逆方向へ強い打球を打つことを強みに、さらにフットワークが軽快な守備が光る選手。木製バットを打っていた山形県選抜の時から攻守のセンスの高さは光っていたが、やはり筋の良さは確かなものがある。見ていてしっかりと物事はこなすタイプなので、走塁、打撃、守備ともにさらに一段階上のプレーを求めていきたい選手だった。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.26

新潟産大附が歓喜の甲子園初出場!帝京長岡・プロ注目右腕攻略に成功【2024夏の甲子園】

2024.07.27

昨夏甲子園4強・神村学園が連覇かけ鹿児島決勝に挑む!樟南は21度目の甲子園狙う【全国実力校・27日の試合予定】

2024.07.26

名将の夏終わる...春日部共栄・本多監督の最後の夏はベスト4で敗れる【2024夏の甲子園】

2024.07.26

報徳学園が3点差をひっくり返す!サヨナラ勝ちで春夏連続甲子園に王手!【2024夏の甲子園】

2024.07.26

「岐阜県のレベルが上がっている」県岐商が2年ぶりの決勝進出も、岐阜各務野の戦いぶりを名将・鍛治舎監督が称賛!【24年夏・岐阜大会】

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.21

名将・門馬監督率いる創志学園が3回戦で完敗…2連覇狙う履正社は快勝【近畿・中国実力校20日の試合結果】

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」