高知商vs高知工
シード取り決戦で躍り出た高知商の「秘密兵器」2人
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高知商の4番・生島 隆成(3年・一塁手)
夏の高知大会、勝てば第4シード獲得。負ければシード落ち。まさに雌雄をかけた高知商と高知工の大一番は、初回一死二・三塁から4番・生島 隆成(3年・一塁手・183センチ78キロ・吹田リトルシニア<大阪>出身)の左中間突破2点三塁打など、序盤からスタートダッシュをかけた高知商の快勝。高知工に勝利ポイント「9」で並び、かつ昨秋県大会準優勝のアドバンテージによって最後の1枠・第4シードに滑り込んだ。
その最大要因は何といっても低めにストレート・スライダー・チェンジアップを自在に投げ込み「今のウチでは打てない」と高知工・高橋 司監督にいわしめた6回・被安打1・8奪三振無四球の左腕エース・高橋 大(3年・左投左打・170センチ67キロ・高知市立愛宕中出身)。ただここではその他の部分、「秘密兵器」2名に目を向けたい。
1人目は3回表二死一・二塁から中堅手横を破るランニング3ランで試合を決めた5番・成田 斗真(3年・右投右打・180センチ67キロ・高知市立一宮中出身)。実はこの成田、昨秋の県大会・四国大会ではメンバー20名にすら入っていなかった。上田 修身監督がその理由を説明する。
「彼は秋までは投手だったのですが、右ひじを痛めていたし、足も速いので冬の途中から野手を並行させていたんです。そして右ひじの状態もよくなかった春を前に『野手一本でやらせてください』と言ってきたので外野手にしました」。
春の県大会は1番で起用され2試合で6打数2安打2盗塁。そして中軸で抜擢された今大会では8打数5安打4打点1盗塁。着実に結果を残し、高知商に欠かせない戦力となった。
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高知工先発・小松 稔(3年)
もう1人は高橋を継ぎ、2番手マウンドに上がった黒岩 真光(2年・投手・右投左打・176センチ65キロ・高知市立中部中出身)。ネット裏を驚かせたのは9回表に巡ってきた打席と走塁であった。
まずは三塁前へのバントヒットを決めると、次打者の初球で迷いなく二盗。そのタイムは「3.00秒」。これは高松商・安西 翼(3年・中堅手・右投左打・173センチ66キロ・高松ボーイズ出身)に匹敵する高校トップクラスのスピードである。「夏は代走での起用も考えている」と上田監督。彼が一塁ベース上に立った時はひと時も目を離せないことになりそうだ。
敗れた高知工も終盤に4番・高橋 朋也(3年・右翼手・179センチ72キロ・高知中出身)の2安打であげた2得点への流れを見る限り、シード校と戦っても決して劣らないポテンシャルを有している。あとは本気で頂点を狙う意思を持てるか。試合後、1時間近く行われたミーティングで感じたことを彼らにはぜひ体現してほしい。
(文=寺下 友徳)
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