試合レポート

高松商vs創志学園

2016.03.27

投げっぷりが良い高田萌生の心理を徹底的についた高松商の積極的バッティング

高松商vs創志学園 | 高校野球ドットコム
3回表 高松商二死満塁、美濃が左越えに走者一掃の先制二塁打を放つ

 昨年秋に行われた明治神宮大会の覇者、高松商が大会ナンバーワン右腕、創志学園高田 萌生(3年)をどう攻略するかに注目が集まった試合、高松商が3回表、打者10人を送る猛攻で大量5点を奪い、試合を決めた。

 髙田は1回戦に比べてストレートが走り、万全の出来を思わせた。2番・荒内 俊輔(3年)への1、2球目には146キロのストレートで2ストライクに追い込み、3球目のスライダーでピッチャーゴロに打ち取るなど絶好の立ち上がりを見せる。

 それが3回になってボールが先行するようになる。際どいコースがボールとジャッジされることが多くなったのだ。高松商の長尾 健司監督は「相手はナンバーワンピッチャー。チャンスは少ない」と髙田に敬意を表しつつ、「序盤にチャンスがある。変化球が入っていないから」とわずかなスキを見逃さなかった。

 高松商は3回、先頭の9番・山下 樹(3年)が全球ストレートの3球目を内野安打すると、1番・安西 翼(3年)が全球ストレートの3球目を送りバント失敗して走者は依然として一塁のまま。2番荒内はストレート2球のあとのスライダーを内野安打にして一、三塁。3番・米麦 圭造(3年)は初球ストレートを打って投手ゴロ、三塁走者が本塁憤死して走者は一、二塁になる。

 続く4番・植田 響介(3年)がスライダーをレフト前に弾き返して満塁にしたあと、5番・美濃 晃成(3年)が3球目の147キロストレートを捉えると打球はレフトの頭を超える二塁打となり塁上の走者がすべて生還、さらに6番・植田 理久都(2年)が5球目の140キロストレートを左中間スタンドに放り込み、あっという間に5対0のスコアになった。

 変化球を取ってくれないからストレートを多投する、それは初戦の東海大甲府戦とは真逆の内容である。そしてストレートの走りがくらべものにならないくらいよかったので、髙田の中にストレート勝負にいきたい心理が芽生えた。そのあたりの心理面は相手ベンチに筒抜けだったようだ。


 高松商の先発、浦 大輝(3年)は髙田とは対照的にストライクをどんどん投げ込んできた。5番・藤瀬 幹英(3年)などは「内角が多かったのでベースから離れて立った」という、それくらい攻撃的なピッチングが目立った。それに対して創志学園打線は待球作戦に出た。いなべ総合戦の浦が外角主体、変化球主体のピッチングだったので、それを予測した上での対応策だ。それがことごとく裏目に出た。

 創志学園打線の5回までのストライクの見逃し率(全投球に占めるストライクの割合)は22.2%。高松商の15.5%、第1試合の勝者、秀岳館の8.2%に比べて高いことがわかる。この待球作戦を尻目に浦はストライクをどんどん投げ込んでピッチャー優位のカウントに追い込み、終わってみれば9回完投して球数は93球ですんだ。逆に創志学園の髙田は完投して175球を投げた。

 創志学園の長澤 宏行監督は「行けると思って雑になってしまった」と自らの采配を悔やむ。行けると思った背景には髙田の絶好調ぶりが見逃せない。私はまだこの日で4試合しか髙田の登板を見ていないが、いまだかつてこれほど投げっぷりのいい髙田を見たことがない。150球を超えた8回表には荒内の3、4球目にストレートが149キロを計測、9回の代打・吉田 啓瑚(3年)の2球目、つまりこの日の173球目には146キロが出た。無尽蔵のスタミナと馬力の強さ。

 この髙田のピッチングを見て、長澤監督は攻撃の采配が雑になったと悔やむのだ。高松商の印象を聞かれると、「個の力で負けていた。自分で判断できる選手が揃っていた」と素直に高松商の強さを認めていた。

 高松商の準々決勝の相手は敦賀気比を破った長崎・長崎海星。敦賀気比戦で全力疾走した長崎海星の選手は6人(8回)で、これは私が計測した中ではここまでの最高。対する高松商には安西 翼(3年)というスピードスターがいる。安西が3回に二盗したときのタイムはやはり今大会最速の3.15秒。走り合いが期待できそうだ。

(文=小関順二

高松商vs創志学園 | 高校野球ドットコム
注目記事
第88回選抜高等学校野球大会 特設ページ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.12

【九州】エナジックは明豊と、春日は佐賀北と対戦<春季地区大会組み合わせ>

2024.04.12

【東京】ベスト8をかけ激突!関東一、帝京、早稲田実業などが登場<春季都大会>

2024.04.12

春季県大会を制した長崎日大の監督は「まだまだチームは未熟」、14年ぶりの夏甲子園へのカギは化学変化

2024.04.12

【茨城】明秀日立、霞ヶ浦などが県大会進出<春季県大会地区予選>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.10

【沖縄】エナジックが初優勝<春季大会の結果>

2024.04.07

法政大が新入生全30名を公開!一般組では楽天・三木肇二軍監督の長男・翔太郎(法政二)も入部!

2024.04.09

慶大が全新入生を公開! 甲子園優勝メンバー14人、智辯和歌山・報徳学園からも有力選手獲得!

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.02

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?