試合レポート

都立城東vs明大中野

2015.10.12

手堅さと大胆さで、城東が逆転勝ち

左翼へソロ本塁打を放った明大中野・中野君

 秋晴れの体育の日、絶好の野球日和となった。[stadium]江戸川区球場[/stadium]にほど近い都立城東は、スタンドにも多くの関係者やファンが詰めかけて、スタンドはぎっしりいっぱいになった。チアリーダーとブラスバンドも陣取って、盛り上げていた。
「自律 友愛 実践 東京都立城東高等学校」と書かれた大横断幕は、さほど広くない[stadium]江戸川区球場[/stadium]だと、貼るのにも一苦労だ。この横断幕は、1999年に都立城東甲子園初出場を果たした際に作られたものであり、その2年後にも甲子園のアルプススタンドに貼られた貴重なものである。その後も、幾多の都立城東健児たちの戦いを見つめてきたモノである。

 そんな伝統を背負う都立城東は、下町の強豪都立校としての人気も定着してきている。この日は、先攻の都立城東はブラスバンドが人気長寿番組『笑点』のテーマで先頭打者を送り出して試合が始まった。

 とはいえ、試合はそんなほんわかムードではなく、緊張感が満ちていた。先制したのは明大中野で、都立城東の初回の攻撃は1四球のみで終わると、その裏先頭の大高君がいきなり二塁打。バントで進めて死四球で満塁となると、内野ゴロの併殺崩れの間に三塁走者が帰った。さらに、明大中野は3回にも3番中野君が左翼へソロ本塁打を放って明大中野がここまでは主導権をとった。

 しかし、ここから都立城東は大声援に送られて反撃していった。直後の4回、先頭の4番長濱君が右中間二塁打で出ると、5番関根君もほぼ同じようなところに落として長濵君が帰り1点差。ここで、明大中野の岡本 良雄監督は、先発の10番大竹 義輝君を諦め、前日に日大豊山との接戦で完投している右サイドの川西 雄大君を投入した。川西君は、切れのいい投球が持ち味である。

 その川西君に対して、都立城東は手堅くバントで送って一死三塁とすると、続く高野君は一度はスクイズがファウルとなりながらも再度トライして成功させ同点とした。このあたり、平岩 了監督の大胆さと手堅さとをうまく融合させた戦術とも言えようか。


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!東京都の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

流れを引き寄せる投球を見せた都立城東の関根君

 同点となって、そのまま試合は中盤に入っていったが、都立城東の関根君は、旧チームでは唯一試合経験のあるメンバーと言ってもいい。そのキャリアが投げ込んでいくうちに生きてきて5、6、7回は3人ずつできっちり抑えていった。そして、それが味方攻撃への呼び水となっていった。

 8回の都立城東は3番清水晴君が内野安打で出ると、4番長濱君がきっちりと送り、続く関根君が中越二塁打してついにリードを奪った。その後にも続いたチャンスは生かし切れなかったものの、9回も1番からの好打順を生かした。佐々木君が右前打すると、バントでしっかりと送り清水晴君が右前打で4点目を挙げた。終わってみれば、6つのバントを決めるなど、堅実さが功を奏したが、その一方でここぞという場面では思い切って振っていって、それが結果に結びついた。

 これで、都立城東夏の大会で敗れた明大中野に雪辱を果たすことができた。
平岩監督も、この日の試合ぶりには納得していた。「打てるチームではありませんけれども、0対2になったところでも慌てないで落ち着いていました」と、選手たちが常に冷静にプレーしていたことを高く評価した。

 都立城東は今チームはマネージャーも含めて、71人の大所帯となっている。そんなチームが、いい形でまとまっているということを示すこの日の戦いぶりだった。

(文=手束 仁


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!東京都の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.27

【鹿児島NHK選抜大会】出水工が延長に及ぶ激戦を制して、サヨナラ勝ち

2024.05.28

春の福岡地区を制した沖学園(福岡)、勝利のカギは異例の「決勝直前沖縄合宿」だった

2024.05.27

【鹿児島NHK選抜大会】樟南vs鹿児島商 かつて「御三家対決」は、樟南が逆転勝利!

2024.05.28

【鹿児島NHK選抜大会】川内商工が2試合連続逆転サヨナラ勝ち!雨のため2試合が継続試合

2024.05.27

【鹿児島NHK選抜大会】鹿児島実が大島に完封勝利

2024.05.22

【春季関東大会】センバツVの両エース打ちで勝利に貢献!逆転タイムリー放った池田翔吾(常総学院)は指揮官も絶賛の打棒の持ち主!

2024.05.25

【関東】白鷗大足利が初、逆転サヨナラの常総学院は15年ぶり決勝<春季地区大会>

2024.05.26

【春季関東大会】常総学院・中村虎汰郎が二刀流の活躍で決勝進出に貢献!9回にはサヨナラに繋がるヒット!投手としてはセンバツ後に再転向で連日の好リリーフ!

2024.05.25

【熊本】九州学院、熊本工が決勝へ<NHK旗>

2024.05.22

【愛知・全三河大会】三河地区の強豪・愛知産大三河が復活の兆し!豊川を下した安城も機動力は脅威

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.29

【岩手】盛岡中央、釜石、水沢が初戦を突破<春季地区予選>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商