加治木工vs薩摩中央
26年目の「ベストゲーム」・薩摩中央
5回裏に同点に追いつかれた直後の6回表、二死満塁で代打・満塩郁隆(3年)がレフト前タイムリー。代打攻勢が功を奏し、2点を勝ち越した。
9回裏、薩摩中央は一死満塁から、この試合3安打と当たっていた3番・吉原大樹(3年)が犠牲フライを放ち、1点差まで詰め寄り、なおも二三塁と一打サヨナラのチャンスを作ったが、4番・森翔雄(3年)が三ゴロに倒れ、万事休した。
春の人事異動で異動が決まった薩摩中央の神村泰幸監督にとっては、今大会がベンチで指揮を執る最後の大会だった。
序盤先制されながらも、平松翔矢(3年)-平松瑛貴(2年)の兄弟バッテリーが粘り強く立ち直り、勝利には届かなかったが、あわや逆転サヨナラという見せ場も作った。
「選手たちが辛抱強く野球をやってくれたベストゲームだった」と選手たちの健闘をたたえていた。
学校事務員として勤務し、前身の宮之城から数えて26年間、チームを率いた。
地方の小規模校でありながら、地元の子供たちを中心に鍛え上げ、1999年秋には九州大会出場を果たし、2011年夏には準決勝で第1シード鹿児島実から金星を挙げ(試合レポート)、決勝進出を果たすという快挙を成し遂げたこともある。
「子供たちや保護者、地域の皆さんの協力で、好きな野球を腹一杯満喫でき、幸せな監督生活をさせてもらったことを感謝したい」と頭を下げた。
神村監督の長男・泰成主将(3年)は「まだまだ取り組みの甘さが出た。優勝して監督さんを胴上げしたかった」と悔し涙を流す。
「この悔しさをバネにして、夏は絶対優勝して監督さんに恩返ししたい」と誓っていた。
(文=政 純一郎)