糸満vs石川
終盤、一気の詰めを見せた糸満が快勝で決勝へ
HRを放ちナインに迎えられる糸満・新垣僚麻
「 甘いインコースの真っ直ぐ。思い切りいきました 」(新垣僚麻)。
0ー0の5回、浜川を中々攻略出来なかった糸満は、松堂睦之(のぶゆき)と神谷大雅(たいが)のヒットで一死一・三塁とすると、2ボールから岡田樹(たつき)が、強めで間を抜くスクイズを成功させ先制した。
そして7回、先頭の新垣がフルスイングすると、打球は大きな弧を描いてライトスタンドへ。新垣自身久し振りと言う一発は、それまで浜川に手こずらされていた打線を目覚めさせた。
8回、岡田が二塁打を放つと池間誉人(たかと)もレフト線への二塁打で続き1点を加えると、大城幸泰(こうだい)にも二塁打が飛び出す同一イニング三つのツーベースでダメ押し。9回にも1点を追加した糸満が、この大会4度目の二桁安打をマーク。投げては先発の赤嶺祥吾が、7回途中で交代するまでに10奪三振を記録。ここまで通算、22回と2/3イニングを投げて自責点ゼロと急成長した姿を見せ、優勝した2010年以来となる3年振り7度目の決勝進出を決めた。
敗れた沖縄石川だったが、3回戦の久米島戦で9回に3点差を逆転すると、準々決勝の陽明戦でも延長11回を制するなど実に21年振りとなるベスト4進出を決めて、今大会一番の台風の目となった。
この試合も2、4、6回と得点圏に走者を進めて赤嶺を追い詰め、8回には一塁に走者を置いて見事なエンドランを決めた一死一・三塁から、悪送球を誘っての1点をもぎとるなど、勝利後の糸満・上原忠監督に「 今日の収穫は勝ったことだけ 」と言わしめた。この日選抜甲子園で優勝を決めた龍谷大平安(京都府)を向こうに回して、6回2失点(3月の練習試合)と好投したまだ新2年生のエース浜川に、終盤も衰えないスタミナがついていけばこの先、ライバルの他校にとって十分脅威となるに違いない。
(写真・文=當山 雅通)