試合レポート

大阪桐蔭vs八尾

2012.09.16

大阪桐蔭vs八尾 | 高校野球ドットコム

森友哉主将(大阪桐蔭)

春夏連覇後の新チーム初戦

春夏連覇を達成した甲子園決勝から3週間あまり。大阪桐蔭の新チームが初戦を迎え、17安打23得点。5本塁打で大阪八尾を圧倒した。

新キャプテンになった森友哉(2年)がこの日はじゃんけんに勝って先攻を取った。
西谷浩一監督は、「何の相談もなしに先攻だった」と苦笑いしたが、キャプテンは攻撃でまずチームのスタートリズムを作りたいという意図を持っていた。
その言葉通り、まず1回に1番辻田大樹(2年)が二塁打を放って出塁すると、3番に座った森友がタイムリーを放って先制点を挙げた。
2点目は併殺崩れの間だったが、直後に7番田村斗紀(2年)がライトへ3ラン本塁打。さらに、二巡目となった1番辻田が3ランを放ち1回だけで8得点。キャプテンの狙いは完全に当たった。

守りでは、甲子園メンバーの笠松悠哉(2年)をあえてスタメンから外す布陣。

「(甲子園決勝まで戦って)当然なのですが、他校より1カ月遅れている。今は突貫工事です」と指揮官が話すように、新しいチームの形はまだまだ手探り状態であると伺える。

この日は、背番号1の髙西涼太(2年)が2回を投げてパーフェクト。3回から投げた葛川知哉(2年)は1失点。最後の5回は初めてベンチに入った原田洋彰(2年)が登板した。

さらにこの日ポイントだったのは、18U世界選手権に参加して、9日に帰国したばかりの森友の状態。

アメリカ戦
での負傷が気になる所だったが、関西空港まで迎えにいった西谷監督は、「翌日にもう一度病院で全ての部分を検査してもらい、大丈夫だということでした」とホッとした胸中を明かした。
ただすぐに新チームの公式戦になり、国体も控えるという過酷なスケジュール。大差になったこの試合では、4回裏からベンチに下げて、残り2イニングを見守らせた。

藤浪晋太郎水本弦田端良基といった世界選手権組の3年生は今週一週間を練習休みにしているそうで、指揮官の本音は森友にも3年生と同じように少し休養を与えてあげたいようでもあった。

それでもこの日の森友の表情は良く、スタンドに詰めかけたファンからの心配の声にも、「大丈夫です」と答えていた。
その後を心配して駆け付けた世界選手権のスタッフも、森友の表情に胸をなで下ろしている様子だった。
帰ってから1週間。副キャプテンの久米健夫(2年)などからチームの様子を聞いたという新キャプテンは、「原点に戻ろうという意味で、声と足(走塁)を意識した」とスタートを振り返った。

次の2回戦は17日。相手は太成学院大高になる。指揮官は、「帰って練習です」とすぐにバスへ向かった。


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芦田磨哉投手(八尾)

一方で敗れた大阪八尾。

22点をリードされた3回の攻撃で、先頭の7番熊井遼太(2年)がライトへヒットを放ち初めての走者が出た。
それを8番谷山大季(2年)が送り、9番芦田磨哉(2年)は進塁打で二死三塁。1番の高橋天智(2年)がセンターへ弾き返して1点を奪った。
5回にも無死一、二塁の場面で8番谷山が犠打。
このように点差に関係なく、自分達のスタイルで1点を取ることに主眼を置いていたのが印象的だった。

ただ、課題が残ったのが投手。
先発した芦田、二番手で登板した宮崎翔汰が合わせて13四死球を与えた。
相手打線を考えれば厳しいのかもしれないが、やはりこれでは野球にはならない。
野球は、ストライクを投げられなければ永遠に終わらないスポーツ。ストライクを投げて、打たれることで、勉強もできる。
まず、ど真ん中に投げてでもストライクを取ることを考えて、取り組んでいったらどうだろうか?

                大阪桐蔭 TEAM                 八尾
守備位置 氏名 打順 守備位置 氏名
辻田大樹 1番 高橋天智(主将)
峯本匠 2番 藤本初矢
森友哉(主将) 3番 早川和志
近田拓矢 4番 鎌田直也
福森大翔 5番 吉本裕紀
香月一也 6番 片岡佑太
田村斗紀 7番 熊井遼太
水谷友生也 8番 谷山大季
髙西涼太 9番 芦田磨哉

(文・写真=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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