試合レポート

健大高崎vs榛名

2012.04.23

健大高崎vs榛名 | 高校野球ドットコム

先発した生井(健大高崎)

脚を気にしない機動力封じ

斬新とも言える機動力は、もはや全国区となった健大高崎
対戦したどのチームも、その機動力封じに頭を悩ました。

この試合は、甲子園とほぼ同じメンバーで臨んだ健大高崎
先発のマウンドには生井、甲子園でも準々決勝で好投した本格派右腕で、エース三木に次ぐ二番手投手ながら、完投能力を十分に持つ。エースの三木は6番ライトで先発出場した。

対する榛名は、健大高崎と同時出場した高崎・境原監督の前任地で、彼が野球部を建て直した事は高崎の甲子園出場と同時に有名になった。境原監督が転勤で去った今でも群馬県内の各地から良い選手が集まる状況になっている。

この榛名の先発は砂山。トルネード気味のフォームから切れの良いボールを投げ込み、昨秋に好投したのも相まって群馬県内では名が売れている投手だ。捕手の沢浦とともに、伊勢崎市から長距離を通学している。

1回表にランナーを背負うものの無得点に抑えた砂山。さすが、好投手とうわさされるだけありコントロール良く、ランナーを背負っても落ち着いて打たせて取った。しかし2回 早々に健大高崎の機動力が炸裂する。先頭の6番三木がライト前ヒットで出塁すると、すかさず盗塁を決め無死2塁。続く7番小林は,ランナーを気にして甘くなった砂山の球をセンターへ運び先制のタイムリー2塁打。続く8番秋山もタイムリーを放って2点目を挙げた。この後、9番生井が仕掛けたスクイズは、榛名バッテリーがうまく外角に外し失敗させた。

しかし、1番に戻り甲子園でも大活躍した竹内がライト前へ運ぶと、盗塁の後、2番中山、3番長坂の連続タイムリーで5-0となった。
ランナーを警戒してカウントが悪くなった球を上位打線が尽くはじき返して、早々に大量リードの試合展開に持ち込んだ健大高崎


健大高崎vs榛名 | 高校野球ドットコム

砂山(榛名)

 その後も毎回の様にランナーを背負う榛名の砂山。しかし3回から6回は走られても、球威やコントロールは悪くならず健大高崎の攻撃を無得点に抑えた。女房役の沢浦も、3回と5回には盗塁を刺し砂山を盛り立てた。

2回の大量失点の際はセットポジションから執拗に警戒していた砂山。若干トルネード気味のフォームでどうしてもクイックが遅くなってしまう。
ただ、走られても気にしなくなったか、ある意味で二塁までは仕方ないと思ったのか。野手の掛け声からも、中盤はその割り切りが感じ取れた。
健大高崎の先発・生井は甲子園で見せた安定感そのままに榛名打線を無得点に抑える。特に、2回から5回まで走者こそ許すものの付け入る隙を与えない見事なピッチングを見せた。
生井の投球術に、榛名打線は無死からの走者を生かす事ができない。
5回には一塁に走者を置いて、9番沼尾が健大高崎のお株を奪うヒットエンドランを成功させライト前にヒットを放った。球場の観衆もどよめく攻撃だったが一塁走者が走塁を迷い、三塁でタッチアウトに。同様のケースで何のためらいもな三塁を目指す健大高崎との差が出てしまった。

 7回は無死2、3塁から、なんとか無失点で2死までこぎ着けた榛名バッテリー。しかし、ここから打者を追い込みながら、連打を許し3点を失って8-0と点差が広がった。健大高崎はアンダースローの左腕・荒木勇貴をリリーフに送り榛名の攻撃を最後まで無得点に抑え、結局7回コールドゲーム。

大差の試合にはなったが、内容的には見ごたえのある良い試合だった。
2回は機動力で、7回は打力で得点を奪った健大高崎
次戦からは、いよいよシード校クラスとの対戦となる。力を発揮して勝ち進むのか、それとも苦しめられるのか。状況に応じて柔軟に対応する健大高崎の戦いぶりに注目だ。

一方の榛名は、健大高崎の機動力を前に為す術なく敗れてきた高校もある中で立派な戦いぶりだった。ただ攻撃では、相手の両投手から毎回の様に走者を出すものの、次の塁が遠かったのが惜しまれれる。夏に向けてより一層のチーム力アップを期待したい。

                  

(文=木内慎治)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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