Interview

中日ドラゴンズ 浅尾拓也選手

2012.03.26

第94回 中日ドラゴンズ 浅尾拓也選手2012年03月28日

 2011年、セ・リーグ最優秀選手賞を受賞。79試合(87回1/3)に登板して、7勝2敗10S。さらに、防御率0.41、45ホールド(52HP)を記録し、最優秀中継ぎ投手にも選ばれた。
 そんな浅尾投手はピッチングだけでなく、今、フィールディングの上手い投手としても注目を集めている。
今回は浅尾投手から、フィールディングの上達方法をたっぷりと教えていただきました。また、これから春季大会や、残り100日で夏の大会を迎える球児の皆さんに、強いメンタルを手に入れるための考え方も伺いました。

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高校野球ドットコム 2011年インタビュー 第64回 中日ドラゴンズ 浅尾拓也選手
 (2011.04.20)

1.瞬時の判断力を養う

“普段の練習で判断力を養っていく”

――素早く、確実なフィールディングを一つの武器としている浅尾投手。今回は、そのフィールディングに関して、上達するためのアドバイスを教えてください。まず、打球を取ってから送球するまでの“状況判断”は、どのタイミングで下しているのですか?

浅尾選手(以下「浅尾」)  まず、投げる前に、どこに送球すればいいかというイメージは常に持って、投球に入ります。ここはランナーを進められても、確実にアウトを取りに行く場面なのか?それとも、ここは二塁を狙って刺したほうがラクな場面なのか。二塁に投げるのか、三塁に投げるのか、その段階で、ほぼ決めています。
 たとえば、「必ず一塁ランナーを刺しにいく」と決めたときは、バントをされても自分の正面に飛んでくるようなボールを投げる、そして絶対に刺すという気持ちを持って送球しますね。

――場面によっては、ランナーの足の速さや打球のスピードによって、瞬時に対応を変えなくてはいけない時もあります。そんな時のための「判断力」を鍛えるために、日頃どんな練習をすればいいのでしょうか?

「浅尾」  基本的には、「刺す!」と思ったら迷わない。でも、打球を取って、送球しかけても、「無理だ、間に合わない」っていう時もあります。そのタイミングって、パっと振り返ってランナーの位置をみたら分かるんです。そしたら、その塁に投げるのをやめればいいだけなんですけど、そういった咄嗟(とっさ)の判断を下すためには、やっぱり普段の練習が大事ですね。
 こういうのは、実戦でしか養えない感覚なので、シートバッティングで、ランナーがついているときに、ランナーの走力と、自分の球の速さを理解して、いける(アウトに出来る)範囲を確認しながら練習します。その代わり、ランナーにも思い切って走ってもらわないと練習にはなりません。

――その感覚を養うために、練習ではどんなことを意識すればいいのでしょうか?

「浅尾」  実践練習で、まずは刺すって決めたら、とにかく投げてみることですね。そのうちに、感覚が掴めてくるんです。
 このタイミングで振り返って、ランナーがこのあたりを走っていたらアウトに出来るけど、このあたりを走っている時に投げたらセーフになったらから、次はここでは投げない。そういう基準を自分の中で作っていく。感覚を掴んでいく。(練習の中で)失敗することで学んでいきました。

2.素早いハンドリングの上達法

――ハンドリングの上達に、おすすめの練習方法を教えてください。

「浅尾」  例えばゴロを取る動作で考えると、フィールディングの速さに差が出るのが、ゴロを取って握り返るまでの時間。見ていると、これが長い人が多い。ボールの握りを速くする、投げる、この反復練習を重ねることで、もっと速く投げられるようになると思います。
 自分の前にゴロを投げてもらって、取って、握り返して、後ろに投げる。この練習は、僕はプロに入ってから、全体練習が終わって個別の練習時間で繰り返しやっていました。

――ボールを取って、投げる。その際に、体のどこを意識すれば速い動きが身についてくるのでしょうか?

「浅尾」 とにかく、“ターンを速く”ですね。ボールまでダッシュでいって、取ったらすぐ投げる。足の動かし方も何度も練習しましたし、握り返る練習もしました。

[page_break:3.ボールへの反応と瞬発力を磨く]

3.ボールへの反応と瞬発力を磨く

“試合で自分を助けてくれる武器になる”

――ボールに素早く反応するための瞬発力を養うためのオススメの練習方法はありますか?

「浅尾」 これは、プロに入ってから初めてやって最初はビックリした練習なんですが、コーチがバッターボックスから至近距離でマウンド前に向かって、めちゃくちゃ速く打球を打ってくるんです。
正面に来るって分かっていても、追いつけるか追いつけないかくらいの速さなんで、反応が良くないと取れないんですよね。この練習のおかげで瞬発力が付きました。

――浅尾投手からみて、フィールディングが上手い投手に共通していることとは何だと思いますか?

「浅尾」 バント処理って、どれだけ取って握り返るまでが速くても、次は確実に正面に投げないと、(アウトは)成立しない。確実性が大事なんですよね。

 フィールディングが上手い投手って、確実にアウトになる位置に投げられるなって感じます。
もちろんピッチャーにとって、フィールディング以上に、まずはピッチングを磨くことが大事ですが、ピッチャーの練習は投げるとか、走るとかがメインなので、その中でフィールディングの練習もすれば、試合で必ず自分を助けてくれる武器になります。

 何度も練習していれば、コツを掴むときがあるんですよね。それが分かれば、また楽しくなってきますよ。

――ピッチングとフィールディングの動きの中で、浅尾投手が使いやすいと感じるグローブは、どんなグローブですか?

「浅尾」 柔らかいグローブは、フィールディングもしやすいですね。今は、みんな型がいいグローブを作りたがるんですけど、そうすると広げようとしても、大きく広がらないんです。
だけど、僕は型にこだわらず、とにかく柔らかくしているので、みんなには「型をつくるのヘタだな」って言われるんですけど、結局は使い込んでいるうちに型は崩れてしまうので。僕のグローブは柔らくて大きく開く分、ボールが取りやすいんです。

――浅尾投手が今、使っているグラブは?

「浅尾」 ミズノのグローバルエリートです。これは、とても軽いグラブなんですよね。ピッチングにもいいですが、フィールディングなどの守備においても、やっぱり軽いほうが反射もよくなります。重いグラブと比べると分かりますけど、とても使いやすいですね。

――では、このテーマの最後に、浅尾投手が考えるフィールディングの重要性を教えてください。

「浅尾」 僕は高校・大学時代もフィールディングの練習はやっていましたが、プロに入ってから、さらに時間をかけて取り組んでいます。自分のプレーでアウト1つ取れるか取れないかだったら、全然違いますし、自分を助けるためにもやったほうがいいと感じているからです。
ピッチングの上手さと、フィールディングはイコールではないと思うけど、その分、バントやゴロを素早く処理できるっていうことは、自分の中で「アウトが取れる」と思えるので、(気持ちの面でも)ランナーを出しても自分の投球を楽にしてくれます。

[page_break:ピンチに強いメンタルを手に入れる]

ピンチに強いメンタルを手に入れる

“自分が何とかしたい!という気持ちでマウンドに”

――メンタルの弱さを課題に感じているピッチャーも多いですが、中継ぎの浅尾投手はどうやってピンチの場面も強気で抑えることが出来るのでしょうか?

「浅尾」 メンタルが弱いなんて、誰しも思っていること。僕もメンタルは、そんな強いほうじゃないけど、どこかで吹っ切ることも必要だと思います。負けても人生終わるわけじゃない、そう思って投げたほうが自分の全力に近い力が出せると思う。
逆に「全力を出そう出そう」と思うと上手くいかない。「なるようにしか、ならない」っていう精神は大事ですね。

――追い込まれた場面で、「怖い」と感じる場面もあるかと思いますが、そんな時はどんなことを考えているのですか?

「高橋」 確かに、「怖い」と感じる場面もある。だけど、考え方を変えるんです。自分がピンチと思っていても、バッターからしたら「打たなきゃいけない」って思っている。
だから、自分でピンチと思わず、相手もここで打てなかったらやばいんだって思ったほうが、自分の投球が出来る。相手の目線で考えると、「ピンチだ!」って動揺することは、なくなりました。

――シーズン中は連投が続きますが、毎試合、高い集中力を保つためには?

「浅尾」 集中しきれない時でも、それまでの試合の流れの中で、みんなが頑張ってる姿を思い出して、自分が何とかしたい!と、マウンドに上がる前に気持ちを高めていきます。

今シーズンの目標

“今年はストレートにこだわって投げていきたい”

――1軍で中継ぎとして活躍して、3年が経ちました。2012年のシーズンを迎えて、改めて感じる「中継ぎ」としての思いは?

「浅尾」 これまで投げてきた中で、一勝の重みも分かりましたし、先発投手の勝ちを消してしまう怖さと痛さも分かるようになってから、責任を以前よりも感じるようになりました。胃が痛くなる日もあります(笑)だけど、大事な場面を僕に任せてくれるっていう期待を裏切りたくないんです。中継ぎは、とてもやりがいがあるポジションだと思います。

――2011年は、セ・リーグの年間MVPにも選ばれるなど、素晴らしい活躍を残しましたね。 

「浅尾」 嬉しかったですが、自分としては、去年(2011年)よりも一昨年(2010年)のほうが良かったと思っています。
去年は、先発投手の勝ちを消してしまった試合もあったのですが、一昨年は一回も消さなかった。僕たち中継ぎにとっては、防御率ではなくて、先発の勝ちを消さずにつなげることが一番の目標なんです。それを去年は何回か失敗してしまったんで。
だから今年は、負けをつけさせないピッチングをしたいです。去年は変化球でかわすピッチングも多くなってしまったので、今年はストレートにもう一度こだわって投げていきたいです。

浅尾投手、ありがとうございました。
今回、浅尾投手から教えていただいたフィールディングのポイント。もし、浅尾投手のプレーをテレビや球場で実際にみる機会があれば、ぜひ目で見て学んで、プロの素晴らしい技を盗んでみてください。
 今シーズン、浅尾投手の強気なピッチングに注目です!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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