東海大学甲府高等学校 高橋周平選手
第92回 東海大学甲府高等学校 高橋周平選手2012年02月27日
2011年、高校生野手の中でも“トップレベル”と評され続けた高橋周平(東海大甲府)。高校通算本塁打は71本を記録。持ち前のパワーバッティングで、主軸としてチームを牽引した。
しかし、甲子園には三年間で一度も立つことが出来なかった。昨秋のドラフトで、中日から1位指名を受けた高橋が今、感じている思いとは?高校3年間の思い出とともに、語っていただきました。
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記憶に残る本塁打を語る

“恩師から貰ったバットで打った本塁打”
――これまで、高校通算71本塁打を打ってきた高橋選手ですが、最も記憶に残っている一本は、どの本塁打ですか?
高橋選手(以下「高橋」) 最後の71本目ですね。AAAアジア選手権の時の決勝で、韓国戦の時に打ったホームランです。
ホームランを打ったこの2打席目からバットを変えたのですが、これが自分の恩師の一人であるコーチから頂いたバットだったので、ドラマチックっていうのもあって、一番記憶に残っていますね。東海大甲府に進学したのも、そのコーチの存在があったからっていうのもあったので。
――東海大甲府に入学したときは、どんな目標を持っていたのですか?
「高橋」 甲子園に行くことですね。プロに入りたいというよりも、甲子園への思いが強かったです。もちろん、プロに行きたいという気持ちは持っていましたが、その思いが強くなったのは、2年の春の関東大会が終わったあたりからですね。
――その頃から、すでにドラフト候補として注目を集めるようになっていましたが、当時は不調で苦しんだ時期というのもあったのでしょうか?
「高橋」 そうですね。注目されるようになってから、結果を出さないとっていう気持ちがあって、そのプレッシャーが辛かったですね。それに、甲子園の舞台にも立っていないのに「No.1」と言われるのは、複雑というか、本当に自分が「No.1」で良いのかな?とは感じていました。
――そんな戸惑い(とまどい)を払拭した出来事はあったのでしょうか?
「高橋」 やっぱりAAAアジア選手権でホームランを打ててMVP(大会では13打点を記録)を頂けたので、少しはそれらしい所を見せられたかなって。
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“悔いはない。やりきった感じです。”
――高校3年間で、テクニカルやフィジカル面で最も変化した時期というのはいつですか?
「高橋」 (フィジカル面では)2年の冬から3年春にかけて、相当走りました。ウエイトにも取り組んで、充実した冬でしたね。
バッティングでも、3年の春の県大会の決勝戦で、いつもとは逆の方向にホームランが打てたんです。これが自分にとっては、初めの逆方向へのホームランでしたね。
――高校3年、最後の夏。東海大甲府は準々決勝の山梨学院大付戦で、4対5で敗戦しました。高橋選手は、この試合で1安打3打点の結果を残しました。
「高橋」 この試合では、全然打てなかったですね。7回まで1対4で負けていて、8回に(二死)満塁の場面で自分の打席が回ってきた時は、鳥肌が立ちました。ヒーローになりたい、ここで打ったらカッコイイなっていう思いもあったと思います(笑)とにかく、「打ちたい!」って気持ちで打席に入りました。
――ここで高橋選手は同点打を放ちましたが、惜しくも9回サヨナラで敗退。最後の夏も、甲子園には届きませんでした。高橋選手にとって甲子園は遠い存在だったのでしょうか?
「高橋」 そうですね。春は県大会で優勝したんですけど、夏はそういうふうには、いかないなって思っていました。行けそうで行けない。勝てそうで勝てない。やっぱり、甲子園は遠かったのかなと思います。だけど、悔いはないです。やりきったっていう思いでした。
――1年生の夏から主軸を任されてきましたが、常にプレッシャーを背負って、打席に立ってきたのではないでしょうか?
「高橋」 小さい時から、主軸をずっと打っていたので、そういった面で、プレッシャーというのは無かったですね。もともと目立ちたがり屋の性格なので、本当は全国の舞台に立って、打って目立ちたかったですけど。
――甲子園の夢は叶いませんでしたが、その年の秋のドラフトで、名前が1巡目で呼ばれましたね。
「高橋」 ホッとした気持ちと、夢が叶った気持ちでいっぱいでした。1番に(中日から)名前が呼ばれたので、嬉しかったです。
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“これからも「恩返し」の気持ちで”
――高橋選手が憧れている選手はいますか?
「高橋」 中日の森野将彦選手です。全てにおいて力が高いと思います。
――プロ入りして、どんな選手を目指していきたいですか?
「高橋」 周りから期待されている面も大きいので、その期待を裏切るようなことはしたくないですね。長くプロ野球選手として活躍したいです。そして、「ここで打ったら男だな」って場面で打てる選手になりたいですね。
――高橋選手がこれからも大事にしていきたい考え方というのは何ですか?
「高橋」 自分は高校時代は、納得するまで練習をやるタイプでした。落ち込んだ時期も、とにかく練習することで調子を取り戻していました。高校野球をもう一回やれと言われたら、もうやりたくないって思うくらい、とにかく練習してました。それは、これからも大事にしていきたいです。
また、高校時代は「恩返し」という言葉を座右の銘にしてきて、僕は周りの方々に助けていただきながら、ここまで来れたので、これからもその思いは大切にしていきたいです。
(インタビュー:編集部)