Interview

熊本国府高等学校 稲倉大輝選手

2011.10.20

第83回 熊本国府高等学校 稲倉大輝選手2011年10月23日


 プロ注目の一つの要素として、強打者タイプなら必ずと言っていいほど、高校通算本塁打という数値化が目安にされている。しかし、どうだろう。そもそも非公式記録であるこの記録は、試合を行うフィールドの広さに規定がないため、両翼90m以下の柵越えも1本であり、同100mのフェンス直撃は当然、1本に数えられない。

 高校通算26本塁打。その数だけに目を向けると少し寂しい気もするが、熊本国府稲倉大輝が、放った数々のホームランは数字だけでは語れない、本質的なホームランの奥深さを感じさせてくれる。
昨秋、ともに両翼99mの[stadium]藤崎台県営野球場[/stadium]で行われた熊本大会の熊本工戦九州大会の鹿児島実戦で外野スタンドを遙かに越えていった場外アーチ。さらには練習試合での150m弾や招待試合でセンバツ優勝投手から放ったセンターバックスクリーン横への幻のアーチ(3回途中で降雨中止)など、稲倉が幾度もみせた鮮やかなホームランは、熊本のファンの間で、すでに語り草になっている。

これが高校生の打球なのか。そんなことを思わせるような、超高校級の飛距離と打球の質。さらに近年、左打者の増加傾向がみられる中、右の高校生スラッガーは、ある意味で稀少価値があると言えるだろう。
そんな稲倉がどのような野球人生を歩み、今に至っているのか、その真相に迫った。

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【目次】

中学時代を振り返って

高校時代に放ったホームランについて

これから

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【目次】

中学時代を振り返って

高校時代に放ったホームランについて

これから

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中学時代を振り返って

“中学時代はすべてノーサインでした”

――中学時代は、どんな選手でしたか?

稲倉選手(以下「稲」) 中学の時は、熊本北リトルシニアに所属していて、キャプテンで捕手を務めていました。
当時の監督さん(元プロ野球選手・釘谷肇氏)は、自分に対して中学2年の時に一度、バントのサインを出したくらいで、その他はすべてノーサインでした。中学1年の5月に初めてホームランを打ってから、はっきりと数えていないのですけど、ホームランは20本以上打っていると思います。

――当時、特に印象に残っているホームランはありますか?

「稲」 中学3年の時に、1年生の歓迎会があったんですけど、そこで『宮崎の[stadium]アイビースタジアム[/stadium](日本選手権の九州予選)でホームランを打ちます』って宣言して、本当に打てたことが印象に残っていますね。飛んだ場所は、バックスクリーン寄りの右中間でした。

――それだけ打てば、いろんな高校からも声が掛かったと思いますが、進学先に熊本国府を選んだきっかけは?

「稲」 シニアの時の周りの友達も一緒に国府に行こうって言ってくれたし、(熊本国府は)だんだん強くなってきていて、甲子園を狙えると思ったので決めました。あと、家からもグラウンドが近いですし、部活が終わってからもこっち(※1)で練習できるかなって思ったのもあります。

※1.実家は熊本国府グラウンド近くで硬式を打てるバッティングセンターを営んでいる。さすがに冬季練習中はできなかったというが、シーズン中は5ゲーム位を打ってから帰っていたという。

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高校時代に放ったホームランについて

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高校時代に放ったホームランについて

“監督のアドバイス通りに打てたことも大きいです”

――高校入学当初に比べ、明らかに体格がスケールアップしたように思えますが。

「稲」 中学の時に周りから相当筋トレしているんだろって言われていたのですけど、全くウエイトトレーニングをやったことがなかったんです。
高校に入ってから(ウエイトトレーニングを)し始めて、気付いたら体格が変わっていましたね。それで下半身も安定してきて、さらに打球が飛ぶようになりました。
それまで自分は、国府のグラウンドでネットを越えたことなかったんですけど(※2)、初めて冬を越えた高校2年春の練習試合で、初めて「あっ越えたな」って思って、練習でもたびたび越えるようになりました。

※2.驚くべきことは、両翼96mの柵越えてはなくて、そのさらに奥にある高さ7mくらいあるネットの事を指していることである。ということは飛距離にして120m以上だろうか、いずれにせよ場外ホームランのことである。

――両翼99mの藤崎台でも度肝を抜くような場外ホームランを2本放っていますが、その時の感触を覚えていますか?

「稲」 (昨秋の県大会(熊本工戦)での場外弾1本目については)芯に当たって、よっしゃ、いったと思ったんですけど、一塁ベースを踏んで見たら、ちょうどその時に兄が(外野)スタンドにいたのですけど、柵の向こうを覗き込んでいたのでまさかと思いましたけど、ベンチ帰って聞いたら場外だと聞きました。(昨秋の九州大会(鹿児島実戦)での場外2本目は)打った瞬間に(場外に)いったと思いました。どちらかというと2本目の方が感触よかったですね。

※3.2本とも計測不能の大アーチだったことは言うまでもない。

――特に印象に残ったホームランはありますか?

「稲」 (今年5月に開催されたRKK旗招待試合)東海大相模戦で打ったセンター方向(バックスクリーン右)へのホームランです。狙い通りでした。簡単にストレートで入ってくる訳ないなと思っていたら、その通りにスライダーがきたので、初球から振っていきました。試合の数日前から(永薗敏博)監督に『右方向を狙い過ぎてヘッドが下がっているので、センター方向へ打ちなさい』と言われていて、監督のアドバイス通りに打てたことも大きいですね。

――レフト方向へ引っ張った打球とセンターからライト方向の打球なら、どちらが気持ちいいものですか?

「稲」 レフト方向へ引っ張った方が、感触として気持ちいいですけど、センターから右に打った方が、心理的に気持ちいいですね。自分の理想はセンターから右方向に打つことですから。

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高校時代に放ったホームランについて

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これから

“目指している選手は清原和博さんです”

――野球部を引退してからはどんな生活を送っていますか?

「稲」 週4日くらいは(高校の)グラウンドで、練習をしています。フリーを打たせてもらったり、いろいろと練習していますが、後輩たちにノックを打つこともありますね。あと、集中する気持ちを保ちたいという意味でも、グラウンドでの練習を積極的に行っています。

――プロを意識するようになったのはいつ頃ですか?

「稲」 中学2年の夏くらいから、ずっと高卒でプロに行くつもり野球をやってきました。

――最後に自分の理想像を教えてください。

「稲」 目指している選手は、清原(和博)さんです。小学生の頃からテレビでずっと見ていましたが、右方向へあんなに飛ばす人はいないですからね。引っ張って打つホームランより、逆方向へ打つ方がカッコイイですからね。そして、チャンスで打てるバッターになりたいです。

そう語るように稲倉の凄いところは、本番に強いところである。実際、高校通算26本塁打のうち、公式戦で放った本塁打は8本。しかも、そのすべてが熊本の聖地・藤崎台で放っているのである。
かつては、日本一広い野球場といわれていた藤崎台から巣立っていった秋山幸二、伊東勤、前田智徳などの有名なプロ野球選手らも、藤崎台でここまでの数字を叩き出していない。それだけに、いかにこの数字に重みがあるかがわかるだろう。
高校通算本塁打だけでは語れない稲倉大輝の凄みはここにもあった。

(文・インタビュー:アストロ)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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