試合レポート

如水館vs東大阪大柏原

2011.08.14

目まぐるしかった大阪対広島

如水館・迫田穆成。
東大阪大柏原・田中 秀昌。
いずれも甲子園優勝監督である。

迫田監督は1973年に広島商業を率いて選手権優勝を果たしており、如水館に赴任してから8度も甲子園に出場している名監督である。
田中監督は上宮高校の監督として93年選抜大会優勝を決めている。東大阪大柏原に赴任してから着実にチームを強化していき、そして今年、優勝候補筆頭に挙げられていた大阪桐蔭を破り初の甲子園出場に導いた。
お互いに実績豊富な指揮官。
そして野球熱が熱い大阪と広島の対決。
注目度の高い試合は試合序盤から動く。

 2回の裏、東大阪大柏原は5番西田にライトを超えるスリーベースを放ち、先制のチャンスを作る。6番杉山は死球で、7番松浪がライトを超える大飛球。いったん、ライトが捕球したかに思えたが、ボールがこぼれてしまい、長打に。東大阪大柏原が1点を先制する。
ここで如水館は動く。先発の坂本をマウンドに降ろし、エースの浜田をマウンドに送る。
試合の流れを傾けさせないために早めの決断だった。浜田は素晴らしかった。最速140キロを超える直球を武器に三者連続三振に取る火消しぶりだった。

3回の表、如水館はすぐにチャンスを作る。1番門田が死球で出塁。2番樋口がバントで送り、3番金尾が高めのストレートを捉えて右中間を破るスリーベースですぐに同点に追いつく。


 5回の裏、東大阪大柏原は9番中河がセーフティバントで出塁。1番望月の犠打により一死二塁となり、2番末武が遊ゴロで二死になったが、3番花本太の1ボールから中川が三盗を成功。そして花本は直球を捉えて左中間を破るスリーベースで勝ち越しに成功する。

だがこの試合は序盤から動いており、落ち着く展開にはならなかった。
6回の表、如水館は二死満塁のチャンスを作るが、無得点。東大阪大柏原のエース福山の球威・球速は落ちてきており、如水館も捉えるようになってきた。そして7回の表、如水館は二死から金尾に死球を出してしまう。
4番島崎がカーブを捉えてレフト線を破るツーベースで二死2,3塁のチャンスを作る。宇田も四球。6番木村はセカンドゴロ。しかしセカンド・中川の失策により二者生還。如水館が2点を勝ち越す。
さらに安原のタイムリーで1点を追加し、4対2と1点を追加する。ここで福山は降板。
二番手に左腕の白根を投入する。白根は後続の打者を抑える。

7回の裏、東大阪大柏原は仕掛ける。1番望月に代えて代打・泉。泉はいきなりレフト前ヒットを放ち、反撃の足掛かりを作ると2番末武はバント。そして3番花本がレフト前ヒットを放ち、4番の石川慎吾にまわる。石川はサードゴロ。緩いゴロで島崎は慌てて送球。送球は逸れて、石川と一塁・金子が交錯する間にボールは逸れていき、一気に二者生還。同点に追いつく。
目まぐるしく変わる試合展開。試合は予想だにできない展開に代わっていった。

 試合は9回に決着が付かず、延長戦へ。如水館は一死1,2塁で4番の島崎。期待のかかる場面で1年生4番が応える。2-2からカーブをセンター前へはじき返し、勝ち越しに成功。1年生4番が勝負強さを発揮した。
さらに二連打でこの回は一挙3点。決定的な点差であった。
その裏、東大阪大柏原は二死1,2塁のチャンスを作るが、2番末武がレフトフライに倒れゲームセット。如水館が接戦を制し、3回戦に進出した。

如水館は1回戦の関商工戦に続き、延長での勝利。ただでは倒れない粘り強さがこのチームの強さだ。なかなか全国の舞台で結果を残せなかった広島勢が07年の広陵以来の夏2勝。さらに上へ目指すつもりだ。

(文=河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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