試合レポート

星城vs名古屋

2011.03.22

星城vs名古屋 | 高校野球ドットコム

山本健太郎(星城)

頼もしいエース山本健太郎!そしてエースを追う沖村拓希!

2試合目は担当校である星城名古屋の対決だ。
昨夏に両校は顔合わせをしており、星城が延長13回に及ぶ大熱戦。7-6で名古屋を下しサヨナラ勝ちした。
ちなみに星城はこの試合から4試合連続サヨナラ勝ちを記録している。

それでは試合を振り返りたい。
1回の表、星城名古屋のエース村上の立ち上がりを捉える。
1番山本がレフト線のツーベースを放ち、2番石川はバント失敗で三振に終わったが、3番伊藤が右中間を破るスリーベースであっさりと先制。
4番菊池もセンター前タイムリーヒットで続き、6番杉田はレフト前ヒットで1,3塁として、7番沖村が左中間を破るツーベースで2者生還し、4対0とする。

3回の裏、名古屋星城のエース山本を攻め立て3番村上のタイムリー、4番猿丸の時にセカンドの野選で1点を追加する。

しかし星城は3,4回に1点ずつを追加し、6回表にも二番手の吉田からバッテリーミス、沖村の2点タイムリーツーベースで3点を入れてその差を広げると、7回には山本のツーランなどで一挙10点を入れる猛攻。
そしてその裏、ライトから入った沖村が登板。
無失点で抑え代表決定戦に駒を進めた。


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山本健太郎(星城)

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星城のエース山本健太郎はまだ体格面のひ弱さが否めないが、安定感抜群の本格派右腕だ。
速球のマックスは昨夏に記録した138キロ。ただ今日は目測で125キロ~130キロ前後とそれほど勢いを感じられなかった。
明日の試合を連投するつもりのようで、星城首脳陣からもセーブしているように見えたようだ。
ただコントロールは安定しており、両サイドに散らし、スライダー、シュートを織り交ぜながら打たせて取る投球に終始した。
要所ではしっかりと力を入れており、最終イニングではおっと思わせるストレートも投げていた。

投球フォームはノーワインドアップからゆったりと足を上げていく。
少しずつ腰を落とし、体を傾斜させて上から振り下す投球フォーム。
無理に反動をつけないバランスの良いフォームをしており、素材の良さがわかる。

クイックも1.2秒~1.3秒前後とまずまずのタイム、フィールディングも身のこなしが良く、ベースカバーも完ぺき。投球以外の技術もしっかり鍛えられていた。
またこの日はホームランを含む3安打3打点3得点の活躍。綺麗なスイング軌道から鋭い打球を飛ばす中距離打者だ。
投手としても安定しており、打者としても勝負強さが光り実に頼もしい選手だ。

山本はどんな選手であるかを深谷部長に伺ってみた。
すると「人前で努力を見せない男」と答えてくれた。
「グラウンド上では普通にこなすのですが、グラウンド外で相当努力していますね。とにかく自分で考えて動ける選手。頼もしいエースです」と絶賛。
並みの高校生にこれほどおだてると天狗になりそうだが、これほど芯がしっかりしているエースならば心配ないだろう。

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沖村拓希(星城)

そのエースの背中を追うのが新2年生の沖村拓希
上背があり、マックス135キロを計測する本格派右腕である。
まだ体重が乗りきらず、ストレートはばらつきが見える。
ただ縦割れのカーブは良く、ストレートの威力が増して、カーブとのコンビネーションを確立すれば面白い。

元々投手専任だったが、打撃の良さを買われて外野を守るようになった。第1打席から左中間へ長打、第2打席もセンター前ヒット、第4打席もライト線を破るツーベースを放った。
投球、打撃もエースの山本に似たフォームをしており、綺麗なスイング軌道から放たれる打球は鋭い。
確かに野手として打席に立たせたくなるのも頷ける。ただ、まだ外野手になってから1カ月。
打球の追い方もぎこちなく、球際も弱く、カバーリングも怠り、カットマンにしっかり返すことも少なく、赤ちゃん状態。
「まだまだ鍛えなければならない部分がたくさんある」と山元監督が話す通り、素質が開花するには時間がかかる印象を受けた。
だが面白みのある逸材、ぜひ名前を覚えてもらいたい。


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菊池勇志(星城)

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4番菊池勇志は実にたくましい体格をしたスラッガー。
星城グラウンドのバックスクリーンまで飛ばすと聞いたが、この体格を見ても遠くへ飛ばしていてもおかしくない。
とにかく打球音が違う。「カーン」ではなく、「ゴン」という音を響かせて、飛ばしていく。
無駄な動きを省き、トップの動作は小さいが、まだ軸がぶれることが多く、変化球の対応に課題を抱える。
山本、沖村がセンス型ならば彼は努力型か。
地道に実力を伸ばしてきたように感じる。最終学年で豪打を連発するか注目だ。

そして注目の木原立遙はスタメンどころか、ベンチにも入っていなかった。
故障ではないようだが、今は外しているようだ。
深谷部長に彼のことをうかがうと実に凄い素材であることが分かる。
ストレートは140キロを超え、打ってはホームラン連発。走らせれば6秒前半。

こんなスーパーな逸材はそうはいない。
その彼がベンチ入りできないのは何か原因があると思う。
心を鬼にしてベンチを外した山元監督の恩情に木原は応えることができるのか。
それに気づいた時、次の道を切り開くことができるだろう。

(文=編集部:河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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