Column

体幹とは何か

2010.12.01

第5回 体幹とは何か2010年12月01日


フォームに関する2つのイメージ

第5回は「体幹」についてお話ししたいと思います。

今では当たり前のように耳にするようになった言葉ですが、「体幹」=「おなか周り」「胴体」といった認識の方が多いのではないでしょうか。
私がイメージして、埼玉西武ライオンズの片岡易之選手らのトレーニングに反映させている「体幹」は、それらとは少し異なります。
私が考える体幹部とは体の軸を司っている部分。つまり首から膝までです。

ですから強化すべき筋肉は、大きく言って、首、大胸筋と脊柱起立筋、広背筋、菱形筋、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋、腹筋下部。さらに大臀筋と言われるお尻の筋肉、その先は脚部になりますが、

特に内転筋ですね。それらを体幹部の筋肉として捉えています。

首が体幹というのは意外に思われるかもしれませんが、1つの目安としては、ある部分がズレるとそれに伴って他の部分も動いてしまう部位。
それらが体幹部であるという考え方です。例えば首が左に動けば、骨盤というのは右に動いてアーチを作ってバランスを取ります。
そう考えると首が体幹の一部であることがイメージできるのではないでしょうか。 
さらに首は体幹部の1番上の部分で、人間はそこに10㎏近い頭がついているわけですから、首が強くないとバランスを崩しやすいわけです。ですから首をしっかりとトレーニングすることは、みなさんが考えている以上に重要なことなんです。

片岡選手も元々は首が細かったんですが、トレーニングの成果でかなりたくましくなっています。どんな競技でも首が細い選手に一流選手はほとんどいません。サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手もかなり首が太いですよね。1度、一流選手の首に注目してみてください。


内転筋については、また少し違う理論なのですが、アイススケートをするときを想像してみるとわかりやすいと思います。
内転筋やお尻の筋肉が弱いと、どんどん両足が開いていってしまいますよね。そうなると当然、体の軸は崩れてしまいます。内転筋による両足を引き付けておく力は軸を保つ上で大切であることがわかるのではないでしょうか。

中心はお腹ですけど、感覚の中で意識して欲しい体幹部というのはみんなさんが考えているよりすごく広い部分であるということ。

首から膝までが体幹部という意識でいた方がいいと思います。

そのことは体幹部の役割を理解することで、よりイメージがしやすくなるかもしれません。

私は大きくは2つの役割を担っていると考えています。1つは上肢、下肢を連動させる経由機関としての体幹部。それは腹部周辺ですよね。

もう1つはここまでお話してきた内容からも想像がつくかと思いますが、体の軸のバランスを保つ役目です。
1つ目をわかりやすく説明しますと、下肢から上肢へ、上肢から下肢へ、力を正しく効率的に伝えられるかどうかは体幹次第なんです。
例えば下半身の力が80だとし、体幹部は70%上肢へ伝える能力を持っているとすると、上半身に伝わる力は56しか伝わりません。
下半身の力が60でも、体幹部が90%伝える強さがあれば、54でほとんど同じになるわけです。
間に通しているもの自体が軟くなってしまえば、それに引っ張られて上下の動きもバランスを崩して力は逃げてしまいますが、ガチッと固まっていればしっかりと伝えていけるわけです。

考え方としては決して難しくありません。
筋肉の位置や骨格を考えると、少し大雑把な例えになりますが、定規の一端を持って、反対端を指で押し下げてから放すと定規は縦に振れますよね。
しかし、抑えている端が不安定だと、どんなに強く反対端を下げても定規は強く振れない。
体幹部の役割に置き換えると、定規の止めている端を体幹部、反対端が力を伝えられる筋肉と思ってください。
体幹部がしっかりしていなければ、力が効率良く伝わらないんです。
これは、肩のインナーマッスルの考え方と同じです。


では、体幹を強くするためにはどんなトレーニングをすればいいのか。
みなさんは体幹を鍛えようとして、仰向けになって腹筋の力で上体を持ち上げるシットアップを何種目もやるじゃないですか。
それはお腹の筋肉がすごく疲れますよね。
でも、それが果たして機能的なのかということをあまり考えていないのではないでしょうか。
筋肉は確実に強化されますけど、野球のプレーに結びつかなければ成果とは言えませんよね。
野球をプレーするとき、腰や背中が地面に着いている状況はあ

りますか? よほどイレギュラーなケースを除けば、ありませんよね。
ですから、腰や背中が下につかない状態で、どうやって腹筋運動をするか、みなさんで工夫して行うことをお勧めします。

 WBC日本代表に選出された選手の中には、お腹が引き締まっていない選手もいました。
「見た目」の腹筋が美しく見えなくても体幹部の機能が高ければ、素晴らしいパフォーマンスを生み出すことができるのです。

次回はみなさんからの質問にお答えしたいと思います。
ランニングに関する疑問や悩み、練習方法などで知りたいことをなるべく詳しく教えてください。

質問はこちら

(文=鷲崎 文彦

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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