試合レポート

横芝敬愛vs多古

2010.11.28

横芝敬愛vs多古 | 高校野球ドットコム

先発・加瀬(横芝敬愛)

代打策成功!横芝敬愛が準決勝進出

坂田池球場2試合目は、横芝敬愛多古
横芝敬愛は任された投手がしっかりと仕事をしてベスト8まで勝ち進んできた。
小見川戦では背番号10の加瀬が15奪三振を奪う快投で快勝。そして佐原白楊戦(2010年11月21日)では背番号11の谷島と背番号1の荻野のリレーで快勝してきた。
一方、多古千葉黎明(2010年11月20日)をコールドで下す猛打を見せ、勢いに乗っている。
実力差は拮抗しており、面白い試合になりそうだ。

試合は、多古の先攻で始まった。
横芝敬愛の先発・加瀬は乱調。一死から2番・根本の内野安打を許したところからコントロールが乱れる。3者連続四球で押し出し。多古が1点を先制する。

先制された横芝敬愛はその裏、2番億田がショートのエラーで出塁すると、すかさず盗塁を決めて二死二塁から4番・大木がセンターオーバーのツーベースで同点に追いつく。
更に5番・石井のレフト前ヒットで二死一、三塁。そして6番・林の打席でファーストランナー石井が飛び出す。多古の内野陣が石井を挟んでいる間に、サードランナーの大木がホームへ突っ込む。際どいタイミングであったが、大木がうまく捕手のミットを掻い潜りホームベースにタッチし逆転に成功した。

3回、多古は二死二塁から4番・宇野澤がレフト線へ落ちるツーベースで同点に追いつく。

しかしその裏、横芝敬愛は一死三塁のチャンスを作る。ここで先ほど二塁打を打っている大木がスクイズバント。大木はしっかりとスクイズを決めて勝ち越し。
4番のスクイズバントで横芝敬愛が勝ち越した。


横芝敬愛vs多古 | 高校野球ドットコム

整列に向かう谷島(横芝敬愛)

5回、多古は二死二塁から3番・片山が右中間を破るツーベースで同点に追いつき、試合は振り出しへ戻る。
それでも、横芝敬愛も粘り強い攻撃で6回に一死から5番・石井大が右中間を破るツーベース。
さらに6番・林のセンター前ヒットで一死一、三塁のチャンスをつくり、7番・畔蒜が投手ゴロで二死二、三塁とするも、8番・稲田がストレートの四球で二死満塁。
ベンチは9番・加瀬を迎えたところで代打・斎藤を送る。

横芝敬愛はここで勝負を仕掛けた。
斎藤は3球目のストレートを叩きセンター前ヒット!二者生還し、5対3。
代打策を成功させた横芝敬愛はさらに、二死一、三塁でファーストランナーが盗塁を敢行。
多古の平山捕手は慌ててしまったのか送球が逸れて、送球はセンターへ。その間に三塁ランナーがホームインして6対3。

7回からは投手・加瀬から右腕の加藤へ。加藤は2イニング無失点に抑える好投をみせる。

また多古も、7回から登板した左腕・行木が同じく2イニングを無失点に抑え9回の攻撃を迎える。

そして9回。横芝敬愛は締めくくりとして背番号11の谷島を登板させる。谷島は5番・石毛を見逃し三振。6番・平山はセンターフライ。
7番・山根にレフト前ヒットを打たれるが、8番・木下をストレートで空振り三振に抑え、ゲームセット。横芝敬愛が準決勝に進出した。

横芝敬愛・鈴木賢二監督は「今日は采配がバチバチ当たった試合でしたね」とこの試合を振り返った。
まず初回、4番・大木がしっかりと仕事をして同点タイムリー。また挟殺プレーの間に1点を入れた。「迷いがなかった」と振り返る大木のスクイズ。


横芝敬愛vs多古 | 高校野球ドットコム

代打・斎藤(横芝敬愛)

そしてポイントの6回裏である。鈴木監督はこの回に勝負を仕掛けていたようだ。
「代打を送るか悩みましたが、6回に加瀬が無失点に抑えているので、ここで勝負を仕掛けようと思いました。調子の良い選手をどんどん出しているので、それで斎藤を選びました。選手たちには準備を怠るなよと伝えました」

その斎藤は期待に応え勝ち越しの2点タイムリーを放つ。さらに盗塁を仕掛け、相手のミスを誘い追加点を入れた。多古にとっては痛い失点だった。個人的な見解だが、8番・稲田のストレートの四球がポイントだと思う。多古バッテリーは9番と勝負するために、稲田を歩かした。満塁策をとったが、代打・斎藤の登場で、その作戦は打ち破れた。慌てている間にミスで1点を献上してしまったのも痛かった。

7回には、背番号17の加藤が登板。そして9回は背番号11の谷島が登板し、無失点に抑えた。振り返れば思い切った采配であった。指揮官に迷いがないからこそ、選手たちは思い切りプレーができた。選手たちは佐原白楊戦に比べて伸び伸びとプレーできていた。迷いのなさと思い切りの良さは横芝敬愛の売りになりつつある。

底冷えの東部地区大会。しかし寒さを吹っ飛ばすような熱い戦いが繰り広げられている。その戦いも明日まで。
明日は横芝坂田池球場で準決勝・決勝がすべて行われる。第6ブロックの優勝チームは何処に決まるのか。

(文・撮影=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.26

新潟産大附が歓喜の甲子園初出場!帝京長岡・プロ注目右腕攻略に成功【2024夏の甲子園】

2024.07.27

昨夏甲子園4強・神村学園が連覇かけ鹿児島決勝に挑む!樟南は21度目の甲子園狙う【全国実力校・27日の試合予定】

2024.07.26

名将の夏終わる...春日部共栄・本多監督の最後の夏はベスト4で敗れる【2024夏の甲子園】

2024.07.26

報徳学園が3点差をひっくり返す!サヨナラ勝ちで春夏連続甲子園に王手!【2024夏の甲子園】

2024.07.26

「岐阜県のレベルが上がっている」県岐商が2年ぶりの決勝進出も、岐阜各務野の戦いぶりを名将・鍛治舎監督が称賛!【24年夏・岐阜大会】

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.21

名将・門馬監督率いる創志学園が3回戦で完敗…2連覇狙う履正社は快勝【近畿・中国実力校20日の試合結果】

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」