試合レポート

横芝敬愛vs成東

2010.11.28

横芝敬愛vs成東 | 高校野球ドットコム 

先発・佐藤(成東)

成東が完封リレーで決勝進出!

 準決勝2試合目。東総工をコールドで破っている成東と勢いに乗っている横芝敬愛の対決。横芝敬愛は1試合毎に動きが良くなっており、昨日の会心の勝利ということもあって、今まで以上に気合が入っている。試合は接戦となった。

 1回裏、成東は二死三塁のチャンスを作るが、4番出口が縦のスライダーを空振り三振。先制のチャンスを逃す。

 2回表、横芝敬愛は一死から5番石井がライト前ヒットで出塁。パスボールの間に二進したが、先制ならず。横芝敬愛は3、4回もランナーが出塁するものの、ホームベースまでが遠い。

 成東は4回裏、2番山崎が死球で出塁。3番石川は初球を捉えた打球はレフトへ伸びてフェンス直撃の当たり。無死ニ、三塁のチャンスを作る。横芝敬愛にとってはピンチ。横芝敬愛の荻野はここでエンジンを入れる。4番出口をストレートで空振り三振。5番粟野にはショート内野安打を許し、成東に先制を許したものの、粟野をけん制で刺し、6番石橋を打ち取り1点にとどめる。1対0。成東のリードで5回裏を終えた。

 6回表から成東は佐藤から1年生左腕・西川にスイッチ。横芝敬愛は1番から始まる好打順。しかし無得点に終わる。
 7回表、5番石井が死球。初めて無死からランナーが出塁した。6番林が送り一死二塁。横芝敬愛はここで勝負を仕掛ける。多古戦で2点タイムリーを打った斎藤を代打に送る。期待をかけられた打席だが、斎藤は四球。仕掛けられずに終わった。なおも一死一、ニ塁のチャンス。ここで成東の西川は素晴らしい投球を見せる。8番荻野を外角に決まるスライダーで空振り三振。9番戸村もスライダーで空振り三振に打ち取り、ピンチを阻止する。横芝敬愛は最初のチャンスを逃した。

 8回裏、一死から3番石川は右中間を破る二塁打。4番出口は変化球を根っこに当てたが、打球は三遊間を抜ける。二塁走者が三塁を蹴ってホームイン。ここで荻野が降板。ライトに入っていた谷島が登板する。谷島が締めてチェンジ。

 9回表、横芝敬愛の攻撃。5番石井は空振り三振。6番林はセカンドゴロ。7番谷島はレフトフライに倒れゲームセット。成東が決勝に進出した。


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荻野(横芝敬愛)

 成東は2年連続決勝進出。昨年は優勝しており、実は連覇がかかっていたのだ。この試合は堅実な守備が目立った。特に素晴らしかったのは外野手のポジショニング。横芝敬愛は2安打に封じられたが、何本かヒットを阻止されている。定位置であれば、抜けている当たりを正面で捕っているのだ。もし抜けていれば試合展開は変わっていただけに隠れたファインプレーであった。

 惜敗した横芝敬愛だったが、収穫と課題を残した大会だったといえる。

 まずは投手陣の目処が立ったということ。背番号1の荻野良教(右/右)はここ最近不調だったが、何か吹っ切れたのか素晴らしい投球であった。佐原白楊戦に比べてストレートのスピード、切れ、勢いは全く違う。若干ではあるが、フォームのタメが効いていたように感じる。特に4回裏では4番出口からストレートで空振り三振に奪ったが、バットがボールの下を振っており、驚かされた。このストレートを軸に投球を組み立てていたのは良かった。横のスライダーは指のかかりが悪く、定まっていなかったが、縦のスライダーの切れも良く、この球で空振りを奪えていたのは収穫だった。来春へ向けて復調の兆しが見られたのは大きな収穫だ。

 また先発・抑えとして活躍した谷島怜央(1年)はマウンド度胸抜群。左腕の加瀬敬亮(1年)も潜在能力は高いサウスポー。投手陣はこの3人を中心にエース争いを巡って切磋琢磨しあいながらも実力を伸ばしていけると非常に楽しみだ。

 課題は内野守備と外野のスローイング。この試合は3失策。記録に残らないミスもあり、ばたつきが見られた。シートノックから感じていたが、外野手のスローイングのコントロールが悪い。守っている外野手はダイレクトを狙って投げているが、それが山なりになり、コントロールを悪くしている。この試合も山なりの返球から打者走者の進塁を許しており、スローイングの精度を高めていかないと厳しいと感じた。

 秋季大会は二次予選で敗退した横芝敬愛。少しずつではあるが力をつけてきている。まだ県で勝ち抜くのは足りない部分は多い。すべての面でレベルアップできるように厳しい冬の練習に望んで欲しい。

(文・撮影=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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