千葉経大付vs文星芸大付
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藍野昌弥投手(千葉経済附)
藍野デー
昨日は台風の影響で中止となり、今日開幕した関東大会。
グラウンド不良の影響で、2時間遅れてプレーボールした。[stadium]さいたま市営大宮球場[/stadium]では千葉県2位の千葉経大付と栃木1位の文星芸大付がぶつかった。
千葉経大付は2回の表にショート田中のエラーにより2点を先制。4回の裏、その田中がセンター前タイムリー―を放ち、2対1とする。6回の表の千葉経大付は1点を加え、さらに8回の表にも1点を加え4対1にする。文星芸大付は8回の裏に相手のミスで1点を返したものの、追加点が奪えなかった。最後は先発の藍野が抑え、千葉経大付が勝利。2回戦に進出した。
千葉経大付の先発は藍野 昌弥(180センチ75キロ 右/右 2年)。今日はまさに藍野デーだった。
投げては8回途中に山口にマウンドを譲りながらも、9回に再び登板し、2失点の好投を見せ、打っては4打数3安打1四球2得点と活躍を見せた。
180センチの長身から投げ込む速球は常時120キロ後半~135キロを計測。球に威力があり、詰まらせる投球を展開する。
立ち上がりは2番谷田部孝太(2年)に四球を許し、さらに3番鈴木薫(2年)にファールで粘られ、苦しい投球を強いられていたが、鈴木はファーストライナーに打ち取り、そして谷田部も飛び出しライナーゲッツー。苦しい立ち上がりをライナーゲッツーでイニングを終えることができ、藍野にとってはラッキーであった。
2回以降、藍野はとにかく腕を強く振ることを意識した投球。
力強い腕の振りから威力のあるボールコーナーに決めていき、さらに小さく横滑りするスライダーを織り交ぜながら、投球を組み立てていき、文星の打者を抑えていった。
抑えることで、彼もリズムに乗ってきたのか。抑えたら声を上げるシーンも見られた。
関東大会の初戦で一試合通して投げ切ったことは彼にとって大きな自信になったことだろう。
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藍野昌弥投手(千葉経済附)
課題を挙げるとスライダーとチェンジアップを投げるときには腕が緩こと。
また力むとボールを押し出す投げ方になってしまい、切れのないストレートになってしまう。
ボールの切れを生むことを重視していけば、この投手は更に良くなる。
打撃については、投手ということもあって詳しく分析していないが、リストの強さを活かした打撃が売りだ。
野手顔負けの打球を飛ばし、速い打球で外野へ抜けていく。
打撃スタイルは来た球を思い切り巻き込んでレフト方向へ飛ばしていくが、この選手が右打ちを覚えたら更に警戒しなければならない打者になるだろう。
2008年夏以来、甲子園から遠ざかっている千葉経大付。
甲子園に遠ざかっている理由の一つに挙げられるのは柱となる投手がいないことだと考えている。
頭数は多いものの、大黒柱と呼べる投手はいなかった。
藍野は投手としてだけではなく、野手としても頼れる存在にまでになってきている。
彼が投打の柱と呼ばれる選手にまで成長することが甲子園へ一歩近づくことになる。
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舘野翔投手 (文星芸大付)
文星芸大付は先発の舘野翔投手(左/左 181センチ75キロ 2年)、三番手で登板した針生翔太郎投手(右投げ 184センチ72キロ)、田中健太遊撃手(右/右 183センチ68キロ 2年)をピックアップ。
舘野はオーソドックスな左腕投手。
柔らかい腕の振りから繰り出すストレートは常時125キロ~130キロを計測。変化球は90キロ台のカーブ、110キロ台のスライダー、100キロ台のチェンジアップを投げる。
カーブとチェンジアップの落差、曲がり具合は中々なものだ。
ただ、まだそれを決め球として活かすことができていない。
それはストレートで勝負できないからだ。
変化球を多投するため、腕の振りが小さくなり、ストレートを投げようとすると腕が振れずボールが生きてこない。
腕の振りが緩むと、打者にとっては判別がしやすくなる。
この試合ではスライダーが高めに浮く傾向があり、それを狙い撃ちされていた。
時折、ストレート中心の組み立てで投げていたが、しっかりと腕が振れており、ボールにキレがあり、打ち取ることができている。
また、投球以外にも平均1.3秒台のクイックの遅さ、フィールディングの緩慢さなども改善できれば投手として更に完成度が上がってくる。
素地は良い投手なので、ひと冬越えての成長が楽しみな投手だ。
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針生翔太郎投手 (文星芸大付)
針生は右投手。
この投手は来年の栃木県で好投手と呼ばれる投手になる可能性を持っている。
投球フォームはまだ荒削り。テークバックの時に右ひじが背中側に入りすぎてしまうし、左腕をうまく使えるフォームではない。簡単にいえば右腕だけで投げているフォーム。
しかし、このフォームから常時125キロ~131キロを計測するのだから、この投手の潜在能力は高いものがある。
120キロ前後の縦スライダーも中々のキレがあり、魅力的だ。
ショートの田中健太は183センチの大型ショート。ショートの動きは大型ながら動けているが、彼はすべての打球をシングル(左手)だけ捕りに行く癖がある。それが彼のリズムなのだが、腰高なので、後ろに逸らしやすい。この試合でも平凡なショートゴロをバウンドが合わずに後ろに逸らしてしまい2点を献上した。
一方、打撃は2安打。変化球に体勢を崩されながらもセンター前タイムリー。そして外角ストレートを綺麗に流し打ち。自分のポイントで打ち返すことができており、器用な打撃ができる選手だと印象に残った。来年には攻守のレベルが一段階上がって行くと面白い選手になるのではないだろうか。
(文=編集部・河嶋宗一)