ルーテル学院vs千原台
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先制の二塁打を放った大里(ルーテル学院)
他校の息子を見つめる監督
ルーテル学院vs千原台
その準決勝第一試合をバックネット裏から、いつもとは違う様子で他校の試合をみている監督の姿があった。
熊本商・大里尚純監督である。
実は大里監督の長男である優尚がこの日、ルーテル学院の9番・右翼手として先発出場した。
優尚は、2回の第一打席で右中間へ適時二塁打を放つと第三打席で送りバントを決めるなど3打数1安打、1打点、1犠打。守っては、7回、矢のような送球で投げ、本塁で走者を刺すなど、攻守にわたって躍動し、ルーテル学院の決勝進出に貢献した。
先制打については「自分でもよくボールがみえていたので打てる感じがしました」としっかりとした口調で語る優尚。さらに7回、見事な送球で走者を刺したことについては「(準々決勝の)文徳戦でもワンバウンドでしっかりと刺せたので、そのイメージがありました」と手応えを感じていた様子。
しかし、4回に飛びついたボールを後逸し、適時三塁打にしてしまったことに
ついては「捕れるかどうかと思いましたが、(三塁打にしてしまったことは)ピッチャーに迷惑をかけた」と反省しきりの様子。
結果的に適時三塁打となったが、2死二塁の場面で打った瞬間、相手走者はゴー。単打に抑えた場合でもホームで際どいタイミングの可能性が高かっただけにボールに食らいついた思い切りのよさは、みていて気持ちのいいものであった。
試合後、父親である熊本商の大里監督は開口一番「ある意味、自分の試合よりハラハラ、ドキドキしましたよ」。
「先制打、犠打、バックホームとよかったですが、三塁打にしてしまった守りがあったので点数をつけるなら・・・70点ですね」と少し苦めの及第点をつけた。
次の準決勝第二試合で自らが指揮官を務める熊本商が敗れ、「(決勝で)親子対決は成りませんでした」と苦笑いした大里監督。
試合中はいつもと同じく真剣な眼差しで指揮する監督も息子のことを聞かれると普段の父親の顔に戻った。
“親として子を想う気持ち”
その特別な想いに、敵うものはない。
肌寒さ感じ始めた11月の藤崎台で温もりを感じた。
(文=PN アストロ)