試合レポート

九州国際大付vs沖縄尚学

2010.10.28

九州国際大付vs沖縄尚学 | 高校野球ドットコム

三好匠(九州国際大付)

三好匠、躍動!

 九州国際大付が沖縄尚学の守乱につけ込み大量12点を挙げ4強進出。センバツ出場をほぼ確実にした。

ここまでの主役は、やはりエースの三好匠だ。
前日の専大玉名戦では被安打7で完封勝利を飾っていた三好。
最速は142キロを計時するが、もともと打たせて取るスタイルを身上としているだけに、奪三振5は持ち味を充分に発揮した結果といっていい。何より四死球1という安定感が素晴らしかった。

そしてこの日の沖縄尚学戦では、前日の疲労に加え「昨夜は気合が入りすぎて眠れませんでした」というほどの気負いもあって「序盤から高めに浮いて苦労しました」と苦しいマウンドとなった。
奪三振はこの試合でも5で、前日に効力を発揮したチェンジアップも健在だった。
しかし、13安打7失点、しかもその7失点にすべて自責がついては本人も納得できないのだろう。
試合後の囲み取材でも、何度か首を捻る姿が目に付いた。

 沖縄尚学戦の三好は、マウンドの不調をバットでカバーした。
5打数4安打2打点。
繫ぎの打撃、適時打、先頭打者としての安打出塁、ダメ押しの適時二塁打。三好が各打席で果たした役割の大きさは計り知れないものがある。
いったんは逆転を許したが「自分が打ってなんとかしたかった」と、投打のスイッチを巧みに切り替える精神的強さも備わってきたようだ。


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沖縄尚学・得点シーン

 1年夏には左翼手として甲子園に出場した。
「ベンチからの声出しもしっかりしないと届かない。ワンプレーで流れが変わってしまう怖さもある。甲子園で得た経験をみんなには伝えています」
という三好。
そして
「みんなにも甲子園を味わってもらいたいです」
ともいう。

 それにしても、沖縄尚学はもったいない試合をしてしまった。
強固な守備でここまで勝ち上がってきたチームだけに、強打の九州国際大付打線を相手に4失策は痛い。
とくに四球や失策で許した先頭打者など、すべてのミスが失点に結びついてしまった。

「結果的に1イニングでも防げていれば、という試合です。守ることを徹底してきたチームなので、こういう展開は苦しい。予選を通じて今日が一番チグハグでした」
と、沖縄尚学・比嘉公也監督もうな垂れる。

 


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三好匠(九州国際大付)

ただ、ディフェンシブなチームが終盤に3点を逆転するなど13安打を放つ粘りを発揮したことに対しては
「2アウトから追いつき追い越す力があることが分かった。それが今大会で得た大きなプラス材料ですね」
と前向きな評価を下した。

さて、三好である。
8月には手首の骨にヒビが入り、登板がないまま予選終盤を迎えている。ようやく先発のマウンドに復帰したのは福岡県北部の決勝戦だった。

ここまで来れば、三好に心配材料は見当たらない。投打の柱が充実している九州国際大付が、このまま一気に九州のてっぺんまで駆け上がることも、充分に考えられる。

(文・撮影=加来 慶祐

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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