金沢vs佐久長聖
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金沢 釜田佳直投手
エース・釜田、被安打10も無失点
石川金沢のエース・釜田佳直(2年)が打たれたヒットは10本。それでも得点を与えなかった。
「打たれても点を与えないのが良いピッチャー。そのことは釜田に口ずっぱく言っています」と浅井純哉監督は無失点で切り抜けたエースを褒め称えた。
釜田の武器は速い直球。152キロの自己最速を記録したこともあり、全国の2年生世代でも注目の投手だ。その釜田だが、立ち上がりから直球を痛打された。4回までで打たれたヒットは5本。苦しさはあったが、「要所を抑えることができた」と本塁は許さない。終わってから考えると、この時の流れは佐久長聖にあって石川金沢にもあったように思える。
4回裏、ここまで無安打の石川金沢は先頭の2番吉田貴亮(1年)がバントの構えで相手先発の園田揺さぶり、四球を勝ち取った。浅井監督も「あれが大きかった」という待望の先頭打者の出塁。1死後、4番石田翔太(2年)の打席で吉田は盗塁を決める。そして吉田はレフト前ヒットを放って1、3塁。
打席には5番を打つエースの釜田。
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バントの構えで相手投手を崩し四球を勝ち取る吉田貴亮(金沢)
「昨日も一発で決めているので、(サインが)来ると思っていた」
という釜田は初球でスクイズを成功させた。それも相手捕手の宮嵜陸(2年)がサードの金田達郎(2年)にスクイズ警戒の合図を送るのを見て、一塁前へ転がす見事なバント。
エースのバットで先取点を挙げた石川金沢は6番、丹保雄志(2年)、7番田代健人(1年)も連打で続いてこの回3得点。浅井監督は「これでウチの流れになったかな」と確信した。
5回にも満塁から釜田の走者一掃の三塁打で3点を追加した石川金沢。7回まで10安打を浴びていた釜田だが、与えた四死球は0で投球数もわずか86。まさに打たれても点を与えないピッチングを実践し、チームは7回コールド勝ち。7年ぶりの選抜出場がこれで大きく近づいた。
この釜田。投球フォームが斎藤佑樹(早稲田大4年)に良く似ている。そのことを釜田に尋ねてみると、
「斎藤さんは大好きな選手で、真似しているうちにフォームが似てきたのだと思います」。
斎藤が甲子園で優勝(早稲田実=2006年)したのは釜田が中学1年の時。駒大苫小牧との引き分け再試合を甲子園まで見に行ったそうだ。場所は早稲田実サイドとなる三塁側のスタンド。
「引き分けになって、いてもたってもいられない気持ちで友達と見にいきました。親にお願いして」とはにかんだ表情を見せた釜田。そこで目に焼き付けた光景は鮮烈なものだったに違いない。
「斎藤さんも(明治)神宮大会に出場している。自分も同じような感じでここまできたので、絶対に神宮大会に出たい」
と釜田は日本文理との決勝へ闘志を見せた。
(文=松倉 雄太)