九州学院vs唐津商
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北方投手(唐津商)
嗚呼、無情……
「直球の走りはいつも以上」と実感していた唐津商・北方悠誠。佐賀決勝で自己最速の149キロを記録した、今大会最速右腕だ。九州最強の呼び声高い九州学院に対して8回を投げ7安打2失点。奪三振は5個と、やや控えめな印象はあるが、そのすべてを空振りで奪っているあたりに実力の片鱗をうかがい知ることができる。
2点を失ったものの、3回以降は直球狙いの九学打線に対してスライダー、カーブを多投しながら得点を許さない。佐賀県予選とは違った“技”の投球北方ポイントを狂わせ強打の九州学院に対して「粘って終盤勝負に持ち込みたい」という唐津商・吉原彰宏監督の目論んだとおりの展開となった。
しかし、そのゲームプランを狂わせたのは、8回唐津商の攻撃中に降り始めた雨である。
中断時間は1時間39分。ベンチで再開を待ち、集中力をキープし続けていた北方だったが、無情にも雨脚は強まるばかり。12時15分には、ついに両チーム合意のもと、降雨コールドゲームが宣告されてしまう。
注目を集めた九州学院の4番・萩原英之との対戦で、左越えのソロ本塁打を許したが「真っすぐを思い切り投げた結果のホームラン。失投ではなかったです」と潔い。
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先制弾を放った萩原(九州学院)
左打に浴びた逆方向への強烈な一撃は「過去にも例はあります」というものの、萩原の一撃のように完璧に放り込まれたケースはなかっただろう。並みの打者であればファウルになるような破壊力充分の直球である。「佐賀大会とさほど変わらない」ともうひと強がりしてみせた北方だったが、九州大会という全国レベルの野球を肌で感じ取ったに違いない。
長い冬が始まる。
できることなら全国クラスの大会で、九州を代表する豪腕のポテンシャルを発揮してほしかったし、見てみたかった。
我々の淡い期待を打ち砕いた九州学院の強さはさすがというべきだが、何よりも試合最終盤で激しさを増した雨が恨めしい。この日は3回に3四球などで押し出しによる失点があった。
「しっかりと下半身を鍛えて、制球力を高めることが課題です」といって口を真一文字に結んだ北方の変貌ぶりに期待したい。最後に北方が漏らした本音が、痛々しく通路と筆者の心底に響いた。
「やっぱり悔いが残りますね」