岐阜vs大垣西
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岐阜高の1番・宮田君
古豪・岐阜高と躍進顕著な大垣西が当たる「通好み」なカード
地区大会で敗退し秋季県大会に出場できなかった高校が、あらためて地区予選を行い、そこを勝ち上がった12校が凌ぎを削る「県下選抜大会」が23日から開催されている(県内2球場)。
同じ日には、春のセンバツ出場をかけた秋季東海大会が三重県で実施されているが、ちょっと趣向を変えてこのローカル大会へと足を延ばしてみた。
岐阜高は県下一の進学校として名高い。1978年を最後に甲子園出場からは遠ざかっているが、今夏のベスト16をはじめ、2001年夏ベスト4、2005年夏ベスト8と、野球部の伝統も引き継がれている「古豪」の文武両道校だ。最近、老朽化した校舎の建て替えが進んで、若干ながら学校の雰囲気も変わったか。
試合は大垣西の2点リードで迎えた5回裏、岐阜高の1番・宮田君が中越え三塁打でチャンスをつくると、3番・岩西君がライト前へタイムリー安打を放ち1点差に。9回裏には一死から佐治木君が安打で出塁し、岩西君がまたも巧みなバッティングでレフトへ弾き返して形勢を拡げると、4番・辻君も安打でつないで満塁機を創出。ここで5番・古田(将)君に右越え二塁打が飛び出し、鮮やかな4連打で岐阜高がサヨナラ勝ちを収めた。
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岐阜高の先発・高木君
毎年、岐阜高の野球は見ていて気が引き締まる。進学校ということもあってか、集中力が凝縮しているのだ。この試合の最後の4連打もその典型。
「ここ一番で力を発揮できるというのはあると思います。今日は『甘い球を積極的に打つ』という、やるべきことをやっていたので、終盤に逆転できると考えていました」
と、森川賢二監督は試合を振り返る。
先発の高木君は、「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹(早大4年)に重なる投球フォーム。エンジ色のユニフォームも似ているから、余計にそう見える。
「そんなに真似しているわけじゃないと思うんですが・・・」と森川監督は笑いながら、「自滅して失点するパターンが多かったのですが、守備から鍛え、コンバートも含めてバッテリーをつくり直してきました。粘り強く戦えたし、県大会予選以後にやってきたことが出来ました」と、またひとつ経験を積んだ新チームの伸びを語ってくれた。
敗れた大垣西も、4年前の秋季県大会では3位と健闘し、初の秋季東海大会進出を果たしている。2004年に福島秀一監督が就任してから、めきめきと力をつけてきた。その福島監督、大垣西に赴任するまでは長らく岐阜高野球部で指揮を執ってきた。昨夏には初めて「古巣」と対戦し4-0と土をつけたが、この日はそれ以来2度目となる前任校との顔合わせでもあった。
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大垣西の先発・中村君
中盤まで、先発・中村君が走者を出しながらも粘りのピッチングを展開。代わった野津君も、サイドハンド左腕の特徴を生かして8回裏を抑えたが、土壇場で逆転を許してしまった。1番の古沢君はパワーがありそうだし、セカンドの高木君は8回裏の守備でイレギュラーバウンドを好捕する反応の良さも見せた。
福島監督は試合後、「走攻守とも、まだまだ出来上がっていません。投手も野手もケガ人が多くて…」と、少し困ったような表情である。
将来的にチームの核になりそうな選手を、福島監督は1年時から積極的に起用する。
この夏は、1年生の本格派右腕・大藏君をベンチに入れ、3回戦では先発のマウンドも経験させた。その大藏君も、試合中に軽く投球練習をしたが、体の状態が万全でなく登板は無し。「大藏は楽しみですよ。角度があるし、ストレートに力がある」とのことだが、それでも「大藏をはじめ、軸になってほしい選手がケガでね…」と、やはりケガに泣かされている様子だった。
最後に「伸びしろはあります。1年生がどこまで伸びるかでしょう」と選手の今後に期待し、「春までにはね」と言い残してバスに乗り込んだ福島監督。こちらも手腕に定評がある監督さんだけに、ひと冬越えた来春、どうチームが成長しているか、要チェックである。
(文=尾関 雄一朗)