日大三vs佼成学園
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コールドを決めるサヨナラスクイズ
ようやく投打がかみ合い、日大三が7回コールド勝ち!
日大三が佼成学園に7回コールド勝ちを収めた。ここまで苦しい試合が続いた日大三であったが、9安打2本塁打8得点と久しぶりに日大三らしい爆発力を見せた。7回にはスクイズでサヨナラを決める徹底した攻撃も見せた。エース吉永健太朗も連投ということもあって調子が上がらない中、粘り強い投球でホームランによる1失点に抑えた。ようやく投打が噛み合いつつある。
エースの吉永 健太朗は3連投。そのためストレートは常時130キロ~135キロ(マックス140キロ)とあまりスピードが出ていない。ストレートが走らない代わりに変化球の割合を増やした。115キロ前後のスライダー、105キロ前後のカーブ、105キロ前後のチェンジアップを織り交ぜていき、変化球中心の投球で7回8奪三振を奪った。特に打者の手元でふわっと落ちるチェンジアップの威力は強力で、打者は面食らったように空振りを繰り返していた。
7回1失点ならば及第点といえるが、プロに行けるポテンシャルがあるからこそ、彼にはあえてハードルも高くして言うと。
変化球中心の投球で相手打者の狙いを外していたのは良かったが、スライダーが高めに抜けることが多く、ファールで粘られることが多かったのが反省点。
準決勝以降では吉永らしい伸びのある140キロ台のストレートとチェンジアップで打者をねじ伏せる投球を期待したい。
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畔上 翔(日大三)
打者では再び高山 俊、畔上 翔、横尾 俊建と新しく清水 弘毅(2年 右/左 175センチ75キロ)をピックアップ。
高山 俊はノーヒットだったものの、明大中野戦(2010年10月12日)よりもしっかりと溜めこんでスイングができていたので、内容は悪くなかった。まだ狙い球が絞れていないので、狙い球がしっかり絞れ、ヒットが出てくると調子を上げていくタイプだろう。守備では打球に素早く反応し、一歩目のスタートは良かったし、シートノックでも低く速い返球を返すことができていた。
畔上翔は日大三の中で最も内容が良い選手。初回には左中間を破る二塁打、2打席目はライト前タイムリー、第3打席目はセカンドのエラーを誘う強烈な当たりを見せた。スタンスはスクエアスタンス。トップは捕手側方向に引きながらも体の中に入りすぎないのが彼の良さ。そのためインパクトまでロスすることなく振ることができている。軸と目線がぶれないので、的確にボールを捉えることができている。膝の使い方も上手く、低めの球にもしっかりと対応し、左中間へ飛ばしたのはアウトローのボールだ。
走塁も上手く、そして打球判断も良く、強肩。一試合だけの活躍で終わらず、大会通して活躍しているのが彼の強み。準決勝では彼の走攻守すべてに注目していただきたい。
横尾 俊建は一本ヒット打ったが、凡退した内容が悪かった。選抜よりもスイングが鈍くなっている感があり、ヘッドが下がり気味で打ち上げる打球も多かった。この選手は調子が良いときと悪い時の波がある。好不調の波を少なくする為にも、感覚に頼るのでなく、きちんとフォームを作れると更に魅力的。凡退になってもライナー、ゴロと低く鋭い打球を飛ばせるようなると上のレベルでの活躍が見えてくる。
守備に昨年から成長を感じた。1年の時は、危なっかしい守備をしていた。その守備の要因は捕球時に腰高になっているからだ。2試合続けて見てきたが、だんだん腰が落ちるようになり、足さばきも良くなってきた。守備は安定しているので、あとは打撃だ。打撃の内容が良くなれば、ドラフト候補として注目されるようになるだろう。
日大三は打てる野手が多いので、厳選するのを悩んだが、攻守の総合力を考えて清水 弘毅をピックアップした。癖のない構えからライト~センター方向へ鋭い飛ばしている。この試合では3打数1安打。ライト線へ鋭い打球を飛ばし、二塁打にした。ショートの守備も安定しており、地肩も強い選手。打撃ももう少し成長を見せれば、1番、3番辺りの起用も考えられそうな選手だ。
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今井 力基(佼成学園)
佼成学園は4番打者の山下 雅人(2年 左/左 外野手 185センチ85キロ)と今井 力基(1年 左/左 投手 171センチ65キロ)をピックアップ。
山下はサイズから分かる通り長打を期待したくなるスラッガー。しかしこの試合では2三振と脆さを見せた内容であった。この選手の欠点は軸がぶれてしまうこと。踏み込んだ足がばらばらになってしまい、尚且つ軸足が踏ん張る事が出来ないので、緩急に対応できるスイングではない。パワーもあるだけに、まずは目線と軸を安定させれば、夏までに山下は更に変化しそうだ。
またこの選手、185センチの体躯の割に走れる選手で、3打席目にショートの内野安打。すかさず盗塁を決めるなど、ただ打つだけの選手ではないようだ。走攻と魅力があふれる選手だ。
今井は4番手として登板したが、今日登板した3投手の中で最も内容が良かった投手。左腕から投げ込む直球は常時125キロ~130キロ(マックス131キロ)と球速はそれほどでもないが、球筋が汚くて良かった。意図的にシュート回転、カット気味の直球を投げ分けて芯を外す投球を心掛けていた。
これが実に嵌っており、4,5,6回を無失点に抑えた。投球フォームを見ると若干球離れが早い印象があり、腕の振りもまだ鈍い。投球フォームに鋭さが加わると夏までに大化けする可能性もある。面白いタイプではないだろうか。
(文=編集部 河嶋 宗一)