白樺学園vs女満別
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サヨナラ勝ちに歓喜の白樺学園ナイン
勝てなかったけど・・・
9回裏、その差は3点。[stadium]札幌円山球場[/stadium]に詰めかけたファン、人口8000人余りの地元・網走郡大空町から駆けつけた応援団は女満別の勝利を疑わなかっただろう。それが結末を見るとは・・・
右中間へサヨナラ打を浴びた3番手の二階堂僚(2年)は、「何が起きたのか」と状況を飲み込めずに、呆然と立ち尽くした。
全道大会は春秋通じて初出場の女満別。北見支部にあるため夏は北北海道になる。つまり円山球場での公式戦はこの日が初めてだ。相手の白樺学園は、同じ北北海道ではあるが、全道大会には6年連続出場の常連校で、夏の甲子園への出場経験もある。
そんな相手に序盤は女満別が試合を完全に支配した。
2回、8番二階堂誠治(1年)の二塁打で1点を先制すると、3回には4番芳野順哉(1年)の二塁打、5番今野敬太(2年)のタイムリーで3点を追加。さらに5回には相手の失策で得たランナーをスクイズで返して5対0。
「思い切り振る攻撃ができた」と鈴木収監督が話す見事な攻め。
初出場のプレッシャーはみじんも感じさせず、逆に5回まで6失策の白樺学園の方が明らかに硬かった。
試合中のイニング間。女満別のベンチからは大きな声が聞こえる。
「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10・・・」
声の主は背番号『15』の丹治海里(1年)。ストップウオッチを手に、時間を読み上げる大きな声が円山球場に響いた。
このタイムは攻守交代の時間だ。選手はもちろん全力疾走。
この中々見られない光景は「先輩たちの代から続いています」と丹治は話す。
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タイムを読み上げる丹治(女満別)
守備から攻撃の時は、ポジションから全選手が返ってくるまで10秒が目安だという。
この他でも、攻撃時に登板中の投手がキャッチボールの為にブルペンに向かう時も全力で走っていた。
丹治の大きな声と、全力疾走が普段通りの力を発揮し、相手へのプレッシャーになったのは間違いないだろう。
しかし5回裏、エース二階堂誠が突然崩れたのをきっかけに、試合の流れは変わった。2番手の大塚亮吾主将、エースの兄である二階堂僚の両2年生投手も流れを止められず無念の逆転サヨナラ負け。
それでもスタメンに6人、18人のメンバーでも14人が1年生という若いチーム。勝てなかったけど、初めての円山球場で掴んだものは大きい。
涙をほとんど見せない選手たちは口々に言いきった。
「また来年春に円山(全道)に来ます」。
(文・撮影=松倉雄太)