試合レポート

興南vs首里東

2010.10.03

2010年10月03日 セルラースタジアム那覇

興南vs首里東

2010年秋の大会 秋季沖縄県大会 準決勝

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試合シーン

ジャイアント・キリングなるか

ジャイアント・キリング、サッカー界で使われる言葉である。日本語に訳すと大物喰い。

秋の大会は難しい。
新チームに移行してまだ日が浅くチームとしての形が出来上がっていないという場合が多い。これは強豪であろうとも変わらない。
この時期は各地でも名の知れた高校が大会の序盤で敗れるというニュースも流れる。やはりそれはそういった事情が大きいだろう。
逆に言うとそこまで有名なチームでなくともしっかりとしたチームを作れば、秋の大会で上位に進出できることが可能ということである。
沖縄の秋季大会で首里東はまさにそのようなチームだったと言えるだろう。正直誰がこの勝ち上がりを予想しただろうか。

秋季大会第一試合は新チームを発足して以来その牙を研いで来た首里東と、春夏連覇によってまだ新チームになって日が浅い興南との対戦となった。何といっても注目は、ジャイアント・キリングが起こるか、である。

興南の先行で始まった試合だが、これは興南が勢いに乗る相手であるから先行をとったのかそれとも首里東が後攻を取ったのかは分からない。
しかし、興南が先行を取ったことは大きかったのではないかと思う。

首里東の先発は新垣。中背で球威や球速を感じさせる投手ではないが、変化球を多投し球を動かして打ち取るタイプの投手だ。
初回は早いカウントで打たせあっさりと2死にするも3番の大城が粘り四球で出るも後続も打たせて取る。2・3回も走者を出すが、しつこい牽制や上手くタイミングを外し捕手の仲村も走られても落ち着いて刺していた。
3回を終わり0-0で会場ももしかしたら・・・と、その“予感”を感じ始めていたかもしれない。

しかし、打者も一巡し慣れてきたのか興南打線が新垣に襲い掛かる。先頭の2番・新城を四球で出すと大城がエンドランを決め、守備が乱れたこともあって2・3塁となる。4番の富里を歩かし無死満塁に、ここで5番の譜久里が綺麗に流し打ち2点を先制される、なおも無死でありピンチが続き連打が続き一挙に5失点してしまう。
一気に襲い掛かる興南打線の怖さと2打席目からしっかりとアジャストしてくるレベルの高さを感じさせる場面であった。
続く5回には1死後連打を許し更に2点を追加され、まさに首里東からしたら序盤の3回からは考えられないような展開になってしまった。こうなるとやはり地力に劣るチームは苦しい。
6・7回と無失点にこそ抑えるが今まで研いできた牙で再び興南に噛み付くだけの元気は無かった。


試合シーン

首里東としてはこの相手は今まで対戦してきたチームとは異質なものがあるだろうと感じただろう。
対応力の高さ、集中力の高さ、そしてどんな試合展開でも落ち着いて対処するチーム力。この試合で肌に感じたはずである。この経験を糧に春に活かして欲しい。そして勢いだけだったと言われないようなチームになって欲しい。

興南の先発は2番手投手の高良(一)。1年生ながら夏もベンチ入りし初戦に登板した右腕投手である。
1年生ながら落ち着いて表情に出さないポーカーフェイスが特徴の投手だ。
初回の立ち上がり先頭打者をポテン気味の不運な当たりで出塁を許し2塁に進められるが、後続をフライや内野ゴロで打ち取り先制を許さない。3回にも再び2塁へ進められるが後続も同じように内野ゴロに打ち取り無難に切り抜ける。
4・5回と味方が得点した直後の投球も危なげなく三人で抑え完全に試合のペースを興南側に引き寄せる見事な投球をし、6回からは高良(尚)にスイッチ。同じ苗字であるが何かしらの関係というわけではなく、こちらは左腕。

なんと入部したばかりの5月の春の九州大会で登板し、その島袋そっくりのフォームからミニトルネードと呼ばれる投手である。登板直後の打者からキレのある直球で空振り三振を奪うも次の打者にはセンター前へ運ばれてしまうが、2者連続で三振を奪い本家トルネードにも劣らない奪三振マシーンぶりを魅せる。7回も走者を出すが無難に抑え試合を締める。

結局興南が力の差を見せる試合となり7回コールド7-0で九州大会行きを決めた。

前日に続き興南のチーム力の高さを感じさせる試合で、やはりこのチームは凄いなと改めて感じさせてくれた。
これで先輩方に続き選抜を掛けた九州大会行きを決めたが、九州大会でポイントになるのは投手力だろう。
枚数はいるが通用するかどうかはやはり未知数。エース・川満を筆頭に短い間であるがこの大会で出た課題を修正していけば選抜も見えてくるのではないだろうか。

(文=PN 山原)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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