試合レポート

聖光学院vs日大東北

2010.10.08

2010年09月24日 開成山球場

聖光学院vs日大東北

2010年秋の大会 秋季福島県大会 準決勝

一覧へ戻る

16奪三振の快投歳内宏明(聖光学院)

県内55連勝で東北大会に挑む

 聖光学院が10-0で日大東北に快勝。県内の公式戦55連勝で5年連続8度目の優勝を飾った。
エース右腕・歳内宏明(2年)が先発。被安打5、16奪三振の快投を見せた。
歳内は今大会は4試合中3試合に先発。
初戦の光南戦で20個の三振を奪ってスタートを切ると、続く白河戦で10個、そして、この日の奪三振は16ということで計46個もの三振を奪った。
歳内本人は「三振は意識していません」とこだわりはない様子だが、武器のスプリット(SSF)が威力を発揮しているのは間違いない。

 どうしても、歳内に注目が集まるが、打撃陣が強力だからこそ圧勝劇を続けた。
甲子園が8月15日に終了。
他チームよりも新チームのスタートは遅かった。
そのため、斎藤智也監督は県大会の組み合わせ抽選会で
「ピッチャーは計算がたつ。打撃陣で試合を作ると言っているけど、期待はしていない。個々の能力はいいのもがあるけど、まだ未熟。ピッチャーに依存してちゃダメ。でも、未知数な分、楽しみな部分もある」と話していた。

蓋を開けてみると、4試合で34得点。長打の内訳は本塁打1本、三塁打8本、二塁打10本。準決勝では三塁打が5本も飛び出した。秋の時点でこれだけの長打力を誇っている。

 決勝後、斎藤監督は「経験がないわりに落ち着いている」とチームを評価した。
そして、エース・歳内への信頼を口にしながらも「周りの(東北大会優勝でセンバツ出場を)決めてくれるだろうという期待を感じるが、それにはまると落とし穴にはまる。歳内も場数を踏んでプレッシャーを克服しているが、そう簡単にいく世界じゃない」と話した。
それでも、「行く時に行かないとダメ。行くタイミングは今。ここで勝負をかけないと。(優勝の)旗を取るためにも1試合をおろそかにしないで、足下を見つめていきたい」と語った。

選手たちに「力は全くないんだぞ」とハッパをかける一方、本音もちらりと見える。自信は持っても、過信はいけない。そこのコントロールを重視する指揮官。
歳内にも常に「天狗になるな」という話しをしている。


中村星太主将(聖光学院)

今大会、天候の影響で決勝戦は千葉国体終了後だった。
県大会準決勝(2010年09月24日)で東北大会出場を決めた後、甲子園ベスト8に力強くけん引した3年生最後の練習を行った。県大会と国体の二足のわらじ。

「心の置き方が難しかった。3年生のチームも大事にしないといけない。効率の悪い日々が続いたが、3年生は(新チームに)いろんな勉強をする機会を与えてくれた。新チームは一緒に練習することで見えなかったものが見え、いい空気を吸えたと思う」(斎藤監督)。国体のために練習を続ける3年生から新チームは、「戦う志を得た」と言う。

Bチーム時代からキャプテンを務めてきた中村星太主将(2年)が「力はないですけど、1試合1試合、足下を見つめてどろくさく必死にやっていきたい。東北大会は優勝して神宮大会とセンバツに出たい」と言えば、歳内も「センバツに出て優勝することが目標なので、東北大会の(優勝)旗を取りに行くためにチャレンジする」と意気込んだ。

今夏、優勝候補に挙げられた広陵(広島)(2010年08月12日)、履正社(大阪)(2010年08月16日)を破って8強入りしたことに満足している選手は1人もいない。目標の「全国制覇」に届かなかった――。その事実が聖光学院を強くしている。

(文=高橋 昌江

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.24

2連覇ならず…浦和学院、頼みの投手陣が崩れ、春日部共栄に逆転負け

2024.07.25

【ポニー】春夏連覇を阻止して初優勝!筑後リバーズが夏の日本一に輝く

2024.07.24

帝京単打攻勢で淑徳を圧倒!伏線になったのは「春の本塁打量産」【24年夏・東東京大会】

2024.07.24

関東一 春のリベンジを果たし準決勝進出!修徳の荒井監督はこの夏で監督を退任【24年夏・東東京大会】

2024.07.20

伊集院の好左腕・新藤、終盤力尽き、鹿児島実に惜敗【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.20

枕崎が1時間半遅れの試合でも集中力を発揮!堅守を発揮し、2年連続の8強!【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.20

【夏の逸材123人成績速報】198センチ左腕、世代屈指のスラッガー、大分の県立に現れた150キロ右腕などドラフト候補が大活躍!北海道NO.1左腕がプロ志望を表明

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」