霞ヶ浦vs鹿島学園
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伊藤雄君(霞ヶ浦)
霞ヶ浦、序盤のリードを守って辛くも逃げ切り4強進出
序盤にポンポンと霞ヶ浦が1点ずつ入れた。こうした展開を見ていると、最終的には5~6点の争いの戦いになるのだろうと思った。
ところが、それ以降はお互いの投手が凌ぎ合うという形で、結局この2点が効いて霞ヶ浦が逃げ切った。お互いの打線がもう一つ打てなかったということもあるのかもしれないが、秋季大会ではやはり投手が優先する傾向が強いのも確かだ。
霞ヶ浦の左腕伊藤雄君、鹿島学園の渡部君の両投手がお互いによく投げたといっていいだろう。どちらも力で抑え込んでいくというタイプではなく、巧みにかわしながら持ち味を出していた。終わってみたら、伊藤君は4回と5回に喫した3安打のみで完封。4四死球という記録にも表れているように、適度に荒れていたというか球が散っていたのも、逆に効果的だったのかも知れない。内野ゴロアウトが15という数字にも、この日の伊藤雄君の投球内容が表れている。
また、鹿島学園の渡部君は一見ぎこちないフォームだが、微妙に打者のタイミングを外していた。後半は走者を出しながらも粘り強くこらえていた。それだけに、序盤の2失点が却って大きくのしかかってしまった。
霞ヶ浦は初回、先頭の海老原君が四球で出るとバントで進め、2死後四番笹島君が中前打して先制する。2回にも、六番岡田君が左線へ二塁打するとバントで進め、八番関根君の右前打で返した。霞ヶ浦は、その後も好機を得てはいたが攻めきれず、3回も二三塁まで進めながらあと一本が出ず無得点。5回には四球で出た飯田君を置いて四番の笹島君という場面だったが牽制アウト。やがて、じり貧みたいな印象で攻撃の勢いがしぼんでいった。それでも何とか勝てたのは、一にも二にも伊藤君の好投に尽きるといっていいだろう。
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渡部君(鹿島学園)
そのことは、高橋祐二監督も十分に承知している。「5回以降はチャンスらしいチャンスもありませんでした。ウチのチームの特徴というか、よくないところなんですけれど気持ちで引っ張っていく選手がいないんですね。これは、そういうチーム作りをしてしまったボクもよくないのでしょうが…、飯田あたりに期待しているんですがねぇ。2点で守りに入ってしまっては…」と、勝っても渋いコメントだった。
この夏の茨城大会ではあれよあれよと快進撃で決勝進出を果たした霞ヶ浦。そのメンバーも何人か残っているだけに期待も高いし、周囲の警戒が強いのも確かだ。試合前は、「今日は7―5で勝つぞ」と選手たちを鼓舞した高橋監督。スコア差だけは目論見通りだったが、あまりに打てなかったのも確かだ。それでも、3安打完封して伊藤君の好投は高く評価されていいだろう。「次はもっと攻めます」と、高橋監督ももう一度気持ちを作り直していた。
(文=手束 仁)