寒川vs香川西
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優勝旗を先頭にダイヤモンドを一周する寒川
必然の逆転サヨナラ劇。寒川、秋季香川大会連覇達成!
今夏の香川県大会、四国屈指の制球力を有する右腕・高橋涼平を擁し、昨春以来続く5季連続県大会制覇へ絶対本命と目されながら、まさかの3回戦敗退に涙した寒川。
そのとき彼らに立ちはだかったのは、終盤になりふり構わぬ細切れ継投を見せ、3対2という僅差のゲームに持ち込んだ香川西であった。
そして公式戦ではそれ以来の再戦となった両者。
準決勝を勝ち上がったことで既に寒川は2年連続3度目、香川西は3年ぶり4度目となる秋季四国大会出場を決めていたとはいえ、特に「高橋さんをはじめとする3年生や、メンバー外の選手がサポートしてくれた」(五十嵐友樹右翼手)寒川にとって、この決勝戦は正に「絶対に負けられない戦い」となったのである。
そして彼らの意地は3対4と劣勢で迎えた9回裏にとうとう結実の瞬間を迎える。
この回、先発では5イニングまでを完璧に抑えられながら、「中盤勝負と切り替えた」(宮武学監督)6回に集中打を浴びせてレフトに追いやった相手エー
ス・岡田孝(2年)を再びマウンドに上げることに成功した寒川は、2死1・2塁と一打サヨナラのチャンスに打席に立った4番・五十嵐(2年)が、「ティーネットを張り替えるくらい打ち込んだ」指揮官の期待に応える強烈なスイングによる一打をレフト線へ。
「今週は気持ちの入っていない練習が続いていた」(岩上昌由監督)相手の中継ミスもあり、送球が反れる間に2者を迎え入れた寒川は、絶体絶命の状態から秋の香川県王者初戴冠を狙った香川西をうっちゃる逆転サヨナラ勝ち。
同時に2年連続3度目となる秋季香川大会制覇を達成したのであった。
かくして試合後には「これまで30年監督をやってきたけど、こんな勝ち方ははじめて」と選手たちの驚異的な粘りに感慨深げな表情を見せた寒川・宮武監督。
しかしそれは「5回にゲームを作る意識が見られず一喝したのに、その後も軽いノリのプレーが多く、こんなチームが勝ったらいかんと思っていた」(岩上監督)香川西との気持ちの入り方を考えれば、むしろ「必然の逆転サヨナラ劇」であったといえるのかもしれない。
(文=寺下 友徳)