試合レポート

北海vs北照

2010.10.13

2010年10月12日 札幌円山球場

北海vs北照

2010年秋の大会 第63回秋季北海道大会  決勝

一覧へ戻る

抱き合う北海ナイン

北海16年ぶりの秋制覇!

 北照北海の決勝対決は50年ぶり。平日にも関わらず、両校とも全校応援で選手を後押しした。

人指を痛めて、前日の準決勝を欠場した1年生エース・玉熊将一が2失点完投。北海が16年ぶりに秋の全道で頂点に立った。

決勝の朝。玉熊は平川監督に「登板したい」と意向を示した。
平川監督は「指の痛みは本人にしかわからない。行けるというので、先発で起用した」と本音を明かす。

立ち上がり。「緊張していた」という玉熊は、北照の1番伊藤陽一(2年)に対しストライクが入らない。ストレートの四球でいきなり走者を背負った。
続く2番石田純平(2年)は初球をしっかりと送りバントを決めた。ところが、1つのアウトで気を良くするのが投手。玉熊は、バックの守りにも助けられて、1回を切り抜けた。

 北海が先制したのは3回。2死1、3塁から6番玉木昂太(2年)がレフト前へタイムリー。さらに7番氏家峻(2年)もヒットで続くと、8番に入っていた玉熊が浅いライトの遥か上を超える走者一掃の三塁打。

「打撃にはあまり自信はない」というエース自らの一打が北海ベンチをさらに乗せた。

その後は「強い気持ちを持って、玉木さんのミットとバックの先輩方を信じて投げた」と打たせて取るピッチング。
この日奪った三振がわずかに1個だけ。バックもノーエラーで応えた。
準決勝を2年生で勝ち、決勝は復活した1年生エースを2年生が支える本来の形で北海が見事に全道チャンピオンに輝いた。


今野京祐投手(北照)

 一方、敗れた北照。河上敬也監督は「相手の力が上だった」と完敗を認めた。
エース今野京祐(1年)は2回こそ4点を失ったが、3回以降は走者を背負っても粘り、後半は北照に流れがきつつあった。それだけに8回の2失点が悔やまれる。

河上監督はこの決勝で伝令を出していない。
3度のタイムは主将の大野雅也(2年)を中心に内野手が考えて取る。この日はその3度を、6回までに使った。

ところが8回、2死から2番川崎和哉(2年)のファーストゴロを京極涼(2年)が弾いた(記録は内野安打)。続く3番銭谷恒毅(2年)のショートゴロを大野が焦りエラー。
これで内野手は冷静さを欠いてしまった。タイムを使いきっているにも関わらず、内野手がマウンドに集まろうとする。当然のように審判に指摘され輪を解いた内野陣。
1年生エースは動揺を隠せない。4番川越誠司(2年)に対し死球、そして5番多間泰介(2年)に勝負を決定づける2点タイムリーを浴びた。

2死から内野ゴロでチェンジのはずが、ミスが重なった北照。守り終えてベンチに帰る際、元気をなくした時点で9回表に反攻する勢いは消えていた。
試合後のキャッチボールが中々出来ずに泣き崩れていた1年生エース。2年生もベンチで呆然とし、エースに歩み寄ることはできなかった。

全道決勝の価値は他の地区大会決勝より重い。単に選抜枠が1つというだけでなく、北海道中の注目を集める。
さらに夏は南北に分かれるため、真の北海道NO1を決めるのは秋の大会だけという声もある。
それだけに、決勝後の両校の様子は悲喜こもごもだった。

(文・撮影=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.24

2連覇ならず…浦和学院、頼みの投手陣が崩れ、春日部共栄に逆転負け

2024.07.25

【ポニー】春夏連覇を阻止して初優勝!筑後リバーズが夏の日本一に輝く

2024.07.24

帝京単打攻勢で淑徳を圧倒!伏線になったのは「春の本塁打量産」【24年夏・東東京大会】

2024.07.24

関東一 春のリベンジを果たし準決勝進出!修徳の荒井監督はこの夏で監督を退任【24年夏・東東京大会】

2024.07.20

伊集院の好左腕・新藤、終盤力尽き、鹿児島実に惜敗【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.20

枕崎が1時間半遅れの試合でも集中力を発揮!堅守を発揮し、2年連続の8強!【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.20

【夏の逸材123人成績速報】198センチ左腕、世代屈指のスラッガー、大分の県立に現れた150キロ右腕などドラフト候補が大活躍!北海道NO.1左腕がプロ志望を表明

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」