北海vs北照
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抱き合う北海ナイン
北海16年ぶりの秋制覇!
北照と北海の決勝対決は50年ぶり。平日にも関わらず、両校とも全校応援で選手を後押しした。
人指を痛めて、前日の準決勝を欠場した1年生エース・玉熊将一が2失点完投。北海が16年ぶりに秋の全道で頂点に立った。
決勝の朝。玉熊は平川監督に「登板したい」と意向を示した。
平川監督は「指の痛みは本人にしかわからない。行けるというので、先発で起用した」と本音を明かす。
立ち上がり。「緊張していた」という玉熊は、北照の1番伊藤陽一(2年)に対しストライクが入らない。ストレートの四球でいきなり走者を背負った。
続く2番石田純平(2年)は初球をしっかりと送りバントを決めた。ところが、1つのアウトで気を良くするのが投手。玉熊は、バックの守りにも助けられて、1回を切り抜けた。
北海が先制したのは3回。2死1、3塁から6番玉木昂太(2年)がレフト前へタイムリー。さらに7番氏家峻(2年)もヒットで続くと、8番に入っていた玉熊が浅いライトの遥か上を超える走者一掃の三塁打。
「打撃にはあまり自信はない」というエース自らの一打が北海ベンチをさらに乗せた。
その後は「強い気持ちを持って、玉木さんのミットとバックの先輩方を信じて投げた」と打たせて取るピッチング。
この日奪った三振がわずかに1個だけ。バックもノーエラーで応えた。
準決勝を2年生で勝ち、決勝は復活した1年生エースを2年生が支える本来の形で北海が見事に全道チャンピオンに輝いた。
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今野京祐投手(北照)
一方、敗れた北照。河上敬也監督は「相手の力が上だった」と完敗を認めた。
エース今野京祐(1年)は2回こそ4点を失ったが、3回以降は走者を背負っても粘り、後半は北照に流れがきつつあった。それだけに8回の2失点が悔やまれる。
河上監督はこの決勝で伝令を出していない。
3度のタイムは主将の大野雅也(2年)を中心に内野手が考えて取る。この日はその3度を、6回までに使った。
ところが8回、2死から2番川崎和哉(2年)のファーストゴロを京極涼(2年)が弾いた(記録は内野安打)。続く3番銭谷恒毅(2年)のショートゴロを大野が焦りエラー。
これで内野手は冷静さを欠いてしまった。タイムを使いきっているにも関わらず、内野手がマウンドに集まろうとする。当然のように審判に指摘され輪を解いた内野陣。
1年生エースは動揺を隠せない。4番川越誠司(2年)に対し死球、そして5番多間泰介(2年)に勝負を決定づける2点タイムリーを浴びた。
2死から内野ゴロでチェンジのはずが、ミスが重なった北照。守り終えてベンチに帰る際、元気をなくした時点で9回表に反攻する勢いは消えていた。
試合後のキャッチボールが中々出来ずに泣き崩れていた1年生エース。2年生もベンチで呆然とし、エースに歩み寄ることはできなかった。
全道決勝の価値は他の地区大会決勝より重い。単に選抜枠が1つというだけでなく、北海道中の注目を集める。
さらに夏は南北に分かれるため、真の北海道NO1を決めるのは秋の大会だけという声もある。
それだけに、決勝後の両校の様子は悲喜こもごもだった。
(文・撮影=松倉雄太)