試合レポート

土佐vs高知商

2010.10.13

2010年10月11日 高知県立春野運動公園野球場

土佐vs宿毛

2010年秋の大会 土佐vs高知商第63回秋季四国地区高等学校野球大会高知県予選 3位決定戦

一覧へ戻る

三谷啓介投手(土佐2年)

「傷だらけの栄光」。土佐、6年ぶり秋季四国大会出場権獲得!

来春のセンバツにつながる秋季四国大会出場権をかけた3位決定戦。
しかし、両チームとも先発メンバーに背番号「1」の姿はなかった。

土佐のエースナンバーを背負う左腕・三谷啓介(2年)は、前日の準決勝・高知戦で左足首に打球を受け降板。
「足首の腫れは前夜には引いたのでメンバー提出直前まで先発は迷った」高多倫正監督だが、最終的には同じ2年生左腕・森岡稜介に先発マウンドを託すことになったからだ。

とはいえ一方の高知商も満身創痍の状況は土佐と同じ。
腰痛を抱える背番号「1」右腕・髙橋一成(2年)は、準決勝・明徳義塾戦で2番手として今大会初登板も、3回で2失点と本調子でないのは明らか。先発を谷岡勇進(2年)に譲った高橋一はブルペンで調整を進めながら出番を待つことになったのである。

しかし試合は両チームの投手陣が踏ん張りを見せたことで白熱の投手戦となる。ちょうど一年前は1年生エースとしてチームの屋台骨を支えながら、その後は左ひじ、左肩の故障が続いていた土佐・森岡稜は「低めに丁寧に投げる」持ち前のピッチングで、7回3分の1を2失点に抑える好投。

「森岡もいい投手なので、任せようと思った」三谷も満を辞してのリリーフでサヨナラのピンチを要所でしのげば、高知商も谷岡を3回途中からリリーフした高橋一が4回3分の1を無失点のナイスピッチ。8回以降3番手としてマウンドに立った吉名祥(2年)も、気迫がボールに伝わる力投で土佐に決勝点を許さなかった。


校歌斉唱を見つめる土佐・高多倫正監督

そして試合時間も3時間を過ぎ、再試合も観客の頭をかすめるようになった延長14回、ついにスコアが動いた。
先頭打者・三谷の安打をきっかけに犠打、安打、盗塁を絡めた1死2・3塁から暴投で勝ち越した土佐は、さらに失策と5番・生田優人(2年)のタイムリーで3点を勝ち越し。
その裏の高知商の反撃を3人で退けた三谷が左腕を突き上げたとき、205分の死闘は終わりを告げたのであった。

この勝利により、実に6年ぶり14度目となる秋季四国大会出場を決めた土佐
「これまで悔しい思いをしてきた先輩の分も勝てたので嬉しい」と自身も最後に足をつって交代を強いられた山形篤史主将も語った。

「傷だらけの栄光」は、戦後まもなくの四国高校野球を牽引し、近未来の復活を期す古豪にとっても大きなエポックメイキングとなることだろう。

(文=寺下 友徳)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.18

神奈川20日に準々決勝!春の王者・武相は唯一のノーシード横浜隼人と、横浜は秋の王者・桐光学園と対戦

2024.07.18

熊本で8強決定!九州学院、熊本工らが進出、進学校・熊本の粘りもあと1歩届かず【2024夏の甲子園】

2024.07.18

大分では明豊、大分、津久見などベスト16決定!高田、大分上野丘の快進撃に期待【2024夏の甲子園】

2024.07.18

兵庫では報徳学園、東洋大姫路がベスト16入り、甲南が9回3点差逆転のサヨナラ勝ち【2024夏の甲子園】

2024.07.19

神村学園、見事な序盤の速攻! 7回コールドで8強へ【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.14

甲子園通算19度出場・享栄が初戦敗退 1点差でまさかの敗戦【2024夏の甲子園】

2024.07.13

四国の夏を盛り上げる逸材20名! 全国注目の四国BIG3から「東大野球部か医者か」の秀才、名門・池田の小さな大エースまで【逸材選手リスト】

2024.07.15

ノーシード・二松学舎大附が2戦連続で延長戦を制す【2024夏の甲子園】

2024.07.13

モイセエフ擁する豊川、初の夏の甲子園へ戦力向上中! カギは超高校級スラッガーの前、投手陣は急成長 センバツの雪辱をはたすか!?【注目チーム紹介】

2024.07.15

プロ注目153キロ右腕が3回戦で姿消す 好リリーフ見せるもあと1点及ばず【2024夏の甲子園・兵庫】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」