二松学舎大付vs片倉
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鈴木誠君(二松学舎大付)
二松学舎鈴木誠投手快で片倉を1安打完封
二松学舎大付の1年生エース鈴木誠也君が、ほぼ完璧に近い投球で片倉を完封した。
7イニングを投げて、被安打1、与死球1、打者18人に対して7奪三振で、残塁も一つのみ。二塁ベースを踏ませることもなかった。1回戦に比べて、見違えるような制球で、そのことによって力みが消えてリラックスでき、それが本来の球の伸びをもたらした好循環になったともいえる内容だった。
1回戦では8四死球という荒れ気味の投球内容だった鈴木君に対して、市原勝人監督は「投球のバランスが崩れていたから」という判断を下した。その結果、本人に対して、投げないで調整する状況を作った。
そして、「どうしても投げたい」という投球に対する飢餓感をもたらすことによって、鈴木君本人ももう一度自分のフォームを見つめ直しながら、バランスを取り戻すことができて制球もよくなったのだ。コントロールがよくなれば、不用意な力味もなくなり、スムーズに腕が振れて球の伸びを作っていくことになる。
スラリとした感じに見えるが、180cmで80kgあるのは筋肉の質がいいということもいえるだろう。聞けば、50m走でも6秒を切るくらいの脚力があるということで、身体能力の高さもある。野球センスも高いのは打順でも五番に入っており、この日は無安打ではあったものの、4回の3打席目にはあわやホームランかというような大きな中飛を放っていた。見た目以上に下半身の安定性があるという印象である。二松学舎大付には背番号18の古谷君という185㎝の投手もおり、投手陣の層は厚そうだ。
投手陣が安定すれば、上へ進出していかれるかどうかは打線次第ということになる。
この日の二松学舎大付は初回に2死三塁で四番山岸君の右前打で先制すると、2回には江川君の中前打から始まって、一番関根君の右中間二塁打などで右下手投げの後藤君を攻略。さらに代わった星野君に対しても襲いかかり、3回にも3点を奪って完全に主導権を奪った。
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片倉・沖辺君
都立片倉としては、力負けは否めないところであったが、宮本秀樹監督は、
「予定していたこと、やろうとしていたことは出来たと思いますよ。ただ、狙い球を打っても打てないし、後藤も予定通りの打攻め方の投球だったんだけれど、微妙なところがボールになって甘く入ったところを打たれちゃったんですよね。これは力不足です。ただ、守りで崩れた負けというのではないですから、一つ階段を上ったんだという意識は出来たと思います」
と、一つひとつを戦いながら確実に上げていこうという意識の中で、次への目標を定めながら、これからの練習を重ねていくことになる。
それが来春、そして最終目標である夏を目指していくという気持ちを確認していた。そのために、自分たちが越えていかなくてはいけない壁は何なのか、本大会出場で全国レベルのチームと対戦することで、そのことを改めて意識し、それが次へのステップになっていくのであろう。多くのフツーの公立校の選手たちはそんな意識で次を目指していくのだが、都立片倉の選手たちもそんな中で、間違いなく今回の本大会進出という実績は、いい意識作りに作用しているはずである。
次への成長を期待したいチームだ。