香川西vs高松商
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岡田孝投手(香川西2年)
動かず託した信頼。香川西に「2本柱」完成へ!
7回裏、高松商の6番・川西涼太三塁手(1年)の犠牲フライにより3点差に迫られ、さらに2死満塁のピンチを背負った香川西の守備。
6回からマウンドに立った背番号「1」の岡田孝(2年)は早くも青色吐息の状態であった。
しかもレフトには常時130キロ台後半のストレートを鋭い横スライダーが切れ、先発で都合5イニングを無失点で抑えた背番号「10」の宇都宮健太(2年)も控えている。
それでも香川西ベンチで岩上昌由監督は腕組みしてマウンドを見つめたまま。動くそぶりはつゆほども見せなかった…。
そのわけは試合後に指揮官自身の口から明かされる。
まずはこの試合のテーマを雨天順延が続き、丸2週間以上試合感覚が空いて「ゲーム勘が薄れていた」、さらに過去2試合が5回コールドで終わっていたことから「9イニングしっかり試合をすること」においた香川西。よってもしこの場面で同点、ないしは逆転されても「交代させるつもりはなかった」と言う。
そしてそれ以上に岡田を続投させた大きな要因として岩上監督があげたのは、「エースナンバーは彼だし、軸は岡田」という彼への絶大なる信頼から。
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宇都宮健太投手(香川西2年)
「ここで宇都宮を登板させたら、これまで積み上げたことを否定することになってしまう」という指揮官の強い口調は、同時に5回・2死満塁で再登板し、「もっと鍛えれば飛距離も伸びる」と黒坂秀央監督も期待の4番・笹田仁一塁手(1年)に走者一掃の痛打を浴びた宇都宮へ警鐘を鳴らす意味合いも込められていた。
そして岡田はその期待に見事応える。
この大ピンチをショートゴロで切り抜けると8・9回も無失点。
最速138キロのストレート以上に躍動感あふれるフォームで名門の反撃を絶ち、香川西は2007年以来、3年ぶりとなる秋季大会ベスト4進出を宇都宮、岡田の継投により成し遂げたのである。
これまで四国4県の試合を探索してきた筆者の目から見ても宇都宮、岡田を有する香川西の投手力は香川のみならず現状の四国地区では屈指。
指揮官の信頼によって完成へと近づいた「2本柱」の存在は、2008年夏以来となる4度目の甲子園、すなわちセンバツ初出場を目指す彼らにとって、最大のストロングポイントになりそうだ。
(文=寺下 友徳)