試合レポート

札幌一vs旭川工

2010.10.09

2010年10月08日 札幌円山球場

札幌第一vs旭川工

2010年秋の大会 第63回秋季北海道大会  準々決勝

一覧へ戻る

田丸(旭川工)

1年生投手 試練のマウンド

 札幌第一のエース・西島降哉(2年)は札幌支部予選でノーヒットノーランを達成した好投手。
その西島隆を相手に旭川工は6得点。狙い通りに打ち崩したが、序盤から失点を重ねた投手陣が踏ん張りきれなかった。
「バッテリーの弱さがそのまま出た試合」と力なく振り返った旭川工の佐藤桂一監督。
先発したエースの官野峻稀が2回4失点、2番手の田丸悠貴も2回4失点、さらに3番手の本田竜悟は5失点と、ことごとく崩れた。この3投手はまだ1年生、マウンドで試練を感じたことだろう。

その試練の象徴とも言える場面が4回裏の守り。

4点をリードされていた旭川工は3回に3番平泉涼(2年)のタイムリー、4回には2番武井良憲(2年)の内野安打と、1点ずつ返してその差は2点まで縮まった。
3回裏からリリーフした田丸は走者を背負うも、そのイニングを無失点。流れは追い上げる旭川工業に傾きつつあった。

しかし、4回裏。前述した試練が田丸を襲う。2つの四球と送りバント、暴投などで1死2、3塁と田丸はまたピンチを背負った。打席には9番の村田皓大(1年)、カウントは2-2。田丸が投じた5球目を村田は打ち返した。
打球はサード正面へのゴロ。
しかし球審はプレーを止めた。

理由は『田丸のボーク』
マウンド上の田丸、そしてベンチの佐藤監督もボークの認識はなかった。指揮官は大きな声で球審に質問を出すが、当然ボークの判定は変わらない。
試合後の佐藤監督にその状況を聞くと、「2段モーションということなんですかね・・・」と釈然としない様子。打ち取って、アウトカウントを増やせたはずが、痛恨の失点。「あのボークは痛かった」と佐藤監督もうなだれた。


佐藤監督

1死3塁で試合は再開。ただ、田丸と捕手・川村勇大(2年)のバッテリーは明らかに動揺していた。仕切り直しの5球目が今度は暴投、三塁走者は難なく生還した。
この回の2点で追い上げの流れは完全に断ち切られたと見ていい。佐藤監督が危惧していたバッテリーの不安が出てしまった。

全道大会という大きな公式戦で試練を受けてしまった1年生投手。ここからはこの試合と逸れるが、あえて言いたいことがある。
投手が少しでもボークの理由がわからない時は、とことん審判に質問し説明を求めてほしい。高校野球規則でも、抗議は認められないが、当該選手の質問は認められる。

学校での授業と同じで、質問ならば、当然審判には答える義務がある。
質問をして、しっかりと理解をする。さらに今後、投手を続けていく上でも非常に重要なこと。ましてや、まだ高校生。先々同じ過ちを繰りかえすとも限らない。
投手ほど複雑な状況にはなりにくいが、野手とて同じことが言える。
野球のルールをしっかりと学べるのが試合中。まして公式戦こそ重要な授業だということを断言したい。

(文・撮影=松倉雄太

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.26

新潟産大附が歓喜の甲子園初出場!帝京長岡・プロ注目右腕攻略に成功【2024夏の甲子園】

2024.07.27

昨夏甲子園4強・神村学園が連覇かけ鹿児島決勝に挑む!樟南は21度目の甲子園狙う【全国実力校・27日の試合予定】

2024.07.26

名将の夏終わる...春日部共栄・本多監督の最後の夏はベスト4で敗れる【2024夏の甲子園】

2024.07.26

報徳学園が3点差をひっくり返す!サヨナラ勝ちで春夏連続甲子園に王手!【2024夏の甲子園】

2024.07.26

「岐阜県のレベルが上がっている」県岐商が2年ぶりの決勝進出も、岐阜各務野の戦いぶりを名将・鍛治舎監督が称賛!【24年夏・岐阜大会】

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.21

名将・門馬監督率いる創志学園が3回戦で完敗…2連覇狙う履正社は快勝【近畿・中国実力校20日の試合結果】

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」