菰野vs宇治山田商
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方田健斗(菰野)
菰野、エース方田が投打に活躍!1年生に逸材の卵も…?
秋季三重大会は2日、県内2球場で準々決勝が行われ、松阪球場では菰野が宇治山田商に3-2で競り勝ち、ベスト4に駒を進めた。
試合は序盤、立ち上がりの不安定な菰野・方田健斗を宇治山田商打線がとらえて2点をリードしたが、3回裏に方田が3ランホームランを放ち菰野が逆転。
その後は方田、宇治山田商・松井建太の投げ合いとなり、4回以降は両チーム無得点で試合が進行。
リードを守り切った菰野が、有力校対決を制した。
投打にわたって、菰野のエース・方田が目立った。
立ち上がりに不安があるタイプで、この日も序盤に2失点。本人も「力んでしまった」と反省した。
「いつも立ち上がりに課題があるんですが、それでも最近は少なくなってき
た。今日は巡り合わせで、立ち上がりの悪い日になってしまったと、私は思うようにしました。ミスで点を取られたわけではないし、1イニングに2点以上与えなかったことは後につながったんでしょうね」とは菰野・戸田直光監督の談。
「球が高い」と戸田監督に指摘された方田は、変化球を多めに使うなどして修正。尻上りに調子を上げ、落差の大きなチェンジアップを駆使し、3回以降は相手打線を2安打に封じた。
最速は138キロ。厳しく見れば、本当にいいボールは何球かに1球だが、変なクセがなく、上から腕を振れるプロ注目の本格派投手。夏に比べてややガッチリしたか。
打っては、3回裏に高校通算8本目となるホームラン(3ラン)を放った。
「打った瞬間に入ったと思った」(方田)当たりで、一気に逆転。自らのバットで決勝点をたたき出した。
雄大に構え、リストを利かせて軽く振ったような打球が45度の角度で飛んで、余裕でフェンスを越える。「投」の逸材は、バットを持たせても逸材であるケースが多いが、方田も然り。
戸田監督は試合後、
「(方田の本塁打について)ヒットで良かったが、あの場面で本塁打が出るとは。いい方向に(形勢が)転んでくれたね。序盤は相手エース・江川(将太)君の球をひっかけていたので、逆方向に打つように指示していた。方田の当たりは飛んだ方向こそレフトでしたが、ボールが外から入ってきたところをレフトへ運んだだけで、意識は右方向にあったはず。ウチは春季大会で江川君に1失点で完投されてるから(その雪辱を果たせた)ね」と話した。
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辻東倫(菰野)
さて、菰野で今秋、1年生ながら4番・ショートという花形ポジションで起用されているのが辻東倫(はるとも)だ。
まだまだ頼りないところもあるが、ヒザとリストを柔らかく使うバッティングで、この日はレフト前へ1安打。シャープに打てそうな印象だ。
戸田監督はこの辻に太鼓判を押す。
「本来はピッチャーをやらせたいんですが、チーム事情で今はショートを守らせています。ピッチャーとしては、関啓扶(3年)や方田クラスになれる素材。野手として見ても、2004年秋のドラフトで日本ハムに入団した市川卓に次いで、久々に能力の高い野手が入ってきたなぁ、という感じです。今70キロの体重が、もう7~8キロ増えてこればね」。
この辻、小学4年生で野球を始めたが、1年でやめているという。
「当時ソロバンを習っていたのですが、サボることが多くて…。それで両親に、バツとして野球も取り上げられてしまいました」というのが理由だとか。
それでも、父親が野球が好きだったこともあって、中学から部活動(軟式)でプレーを再開。
戸田監督から期待をかけられる球児になった。
高い身体能力を持つ辻の成長が楽しみだ。
敗れた宇治山田商は、春から主戦のエース・江川が3回裏に逆転弾を浴びると、4回裏から松井にスイッチ。松井が力投したが、打線が3回以降方田から点を奪うことができなかった。
野手でおもしろそうなのが4番の上村直弘。
184センチと大型で、スイングスピードがある。
高校通算本塁打数は5本に満たないといい、「(相手投手の球に)詰まってしまうことも多いので…」と控え目だが、ひと冬越えた来春にまた観たい選手。投手も兼任し、最速135キロのストレートを投げる。
(文=尾関 雄一朗)