三重vs四日市
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川森康平(三重)
三重高、食い下がる文武両道校を破り4年連続秋季東海大会へ王手
三重は同点の9回裏、1番・山口雄大がヒットと盗塁で二塁へ進み、次打者が四球で歩いて無死一・二塁の絶好機に。
ここで3番・地主和真がレフトへタイムリーヒットを放ち、サヨナラ勝ちを収めた。
三重大会はこの日でベスト4が出揃い、松阪、白子、菰野、三重の4校が東海大会進出(3枠)をかけて3日の準決勝で凌ぎを削る。
準々決勝に勝ち、4年連続の秋季東海大会進出へ王手をかけた三重。
この日の殊勲は、1点ビハインドの3回表途中から登板した背番号1・川森康平だ。
130キロ台前半のストレートにスライダー、フォークを交え、打たせて取るピッチングを展開。
代わってからの16打者(3回表無死~8回表1死まで)に無安打無四球を続けた。
終盤につかまって同点を許し、9回表には後輩投手のリリーフを仰いだが、それまでのピッチングは十分に及第点を与えられるものだろう。
本人は試合後、爽やかな表情で「変化球もストレートも良かったほうです。(8回表に)タイムリーを打たれたときだけは、ストライクゾーンの打ちやすいところに球がいってしまった。そこだけは悔いが残ります」と話してくれた。体を大きく使って、上から投げ込んでくる快腕タイプ。球離れの位置がキマれば、いいボールはくる。
新チーム発足時に三重を訪ねた際、沖田展男監督は「今度のチームは絶対的投手が不在なんですよ」とエースを決め兼ねている様子だったが、このまま好投を続けて、川森には背番号1を守ってもらいたいところだ。
三重の強力打線の核は、何と言っても4番のスラッガー・道貝真之だ。
178センチ、86キロの堂々たる体躯で、ここまで高校通算26ホームランを記録している。
この日は2打席目に、レフトフェンスへ押し込むような痛烈な同点タイムリー。その直前には飛距離抜群のファールで観客の度肝を抜いた。左翼守備では8回表、レフト前ヒットで本塁へ還ろうとした相手の二塁走者を、強肩のバックホームで補殺した。捕手のミットにストライク送球をたたきつけて、逆転を許さなかったのは大きい。
道貝、話してみると純朴で、「気はやさしくて力持ち」タイプなのかも。
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黒川拓実(四日市)
甲子園常連校に大善戦した四日市は、県内でも一、二を争う進学校。
平日の練習時間は3時間程度で、休日も午前は勉強にあてることが多いのだとか。それでも、「文武両道」で野球部は強い。
「周りは(四日市相手で)勝てると見ていたようだけど、高校生同士だし差はない。それに、四日市は進学校ということで守備もしっかりしてる。(攻撃で)大きな当たりは無くても、内外野の間に打球を落としてきたり、意表を突いてきたり」とは、敵将の三重・沖田監督の談。
しぶとい相手を警戒していたのが分かる。
先制した2回表は、先頭打者・川合拳人が内野安打で出塁すると、2つの犠打(うち1つは内野安打に)を連ね、大矢峻介のスクイズでランナーをホームに還した。
バント安打はこの試合で計3本。巧みに相手守備陣を揺さぶった。
終盤にもチャンスをつくって、8回表に同点に追いつき、9回表も2死から一打勝ち越しの場面を迎えたが、惜しくもあと一本が出なかった。
エースの黒川拓実は、ピンチになってもテンポの良い投球を展開し、決して三重のペースにはしなかった。
ボールをコーナーに決めるコントロールの良さ、打者に本来のバッティングをさせない変化球が持ち味。7回裏には道貝に対して丁寧に変化球でコーナーを突き、見逃し三振に仕留めた。ストレートも走っていたはず。好投手だ。
1年生の2番・片岡卓也は、リストでボールに合わせるバッティングでこの日3安打の活躍。守備では主将でショートの舘雅大を中心に、集中力を切らさなかった。四日市ベンチからの声出し・声掛けも素晴らしかった。
(文=尾関 雄一朗)