試合レポート

奈良大付vs橿原学院

2010.10.04

2010年10月03日 佐藤薬品スタジアム

奈良大付vs橿原学院

2010年秋の大会 奈良県秋季大会 3回戦

一覧へ戻る

奈良大付・湟打

土壇場の逆転劇 奈良大付、橿原学院に7-6で競り勝つ

これが積み重ねというものか。

得点の奪い合いとなった私学同士の対決。終盤に追いつき、延長に勝ち越した橿原学院がそのまま制すかと思われたが、奈良大付がひっくり返して、サヨナラで勝利をもぎ取った。

今大会の組み合わせが決まった時、奈良大付にとっては厳しい戦いになるなと思ったものだ。というのも、初戦となった2回戦は関西中央、今日の3回戦が橿原学院を勝ち抜かねばならなかったからだ。

関西中央も、橿原学院も、今や野球に力を入れる私立校。
大がかりな勧誘とまでは行かないが、それなりに選手を集めることができる。一方で、奈良大付・田中監督は勧誘をあまりしない。

しかも、今年の奈良大付は旧チームの松田のような大黒柱もいなければ、それほど、粒がそろっていたわけではない。

その中で、旧チームから投手陣が残っている関西中央橿原学院と対戦しなければならないとは、正直、厳しいなと思ったほどだ。
ややもすると、天理智辯学園を除いたこの私学勢の勢力図が変わるかもしれない。そんなことを思ったほどである。

ところが、2回戦の関西中央には競り勝ち、この日も、橿原学院に土壇場で打ち破った。

試合後、「たまたまですよ」を繰り返す奈良大付・田中監督に、その要員は何かと探ってみた。
「弱いチームやから必死のパッチ」という田中監督が、執拗な筆者の質問に、応えを絞り出してくれた。

「自分たちの野球を作ろうとやっていますんで。できる・できないは、勇気があるかないかで変わってきますけど、先輩らがやってきた野球をやろうというのは、あるかもしれません。得点を奪うのはダイヤモンドを回すということですから、送りバントだったり、盗塁だったり、エンドランを決めることで回すことになる。守備についても、きっちりひとつひとつ守る」

もちろん、試合の中ではミスも起きるが、受け継がれてきた伝統とういうのか、勝ち方を知っているというのか、彼らは、「らしくない」試合運びをしないのだ。


仲本(橿原学院)

田中監督は続けて言う。
「監督の指示を待っていないとできないと駄目ですよね。勝手にできるくらいでないと」
延長10回裏はまさにそんな展開だった。

1死1、2塁と攻めていた奈良大付は、二走・上治が単独スチールを仕掛けて成功させさせたのだ。
一走も二塁を陥れ、二、三塁と好機を広げた。そして、、3番・湟打の適時打で試合をひっくり返したのだ。

奈良県は私学2強の天理智辯学園が、依然、先頭を走っている。
奈良大付は数年来、その後を追う存在だったが、ここ数年で力を入れる関西中央橿原学院の私学勢などが、ヒタヒタと後を追っかけていたのだ。

だが、そういう流れになっても、奈良大付は、関西中央橿原学院にはやられないのだ。
追随を許さず、位置関係を代えない。
これは、もはや、積み上げたことの違いと言っていいだろう。

「そうはいっても、智辯学園天理に勝って、甲子園に行かないかといかんのですけどね」
そういって苦笑いを見せた田中監督。

準々決勝の相手は智辯学園。いつも以上に力の差はあるのは確か。
厳しい戦いになるだろうが、関西中央橿原学院を破って智辯学園との挑戦権を得たことに、非常に意味のあることだ。

(文=氏原 英明

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.26

新潟産大附が歓喜の甲子園初出場!帝京長岡・プロ注目右腕攻略に成功【2024夏の甲子園】

2024.07.27

昨夏甲子園4強・神村学園が連覇かけ鹿児島決勝に挑む!樟南は21度目の甲子園狙う【全国実力校・27日の試合予定】

2024.07.26

名将の夏終わる...春日部共栄・本多監督の最後の夏はベスト4で敗れる【2024夏の甲子園】

2024.07.26

報徳学園が3点差をひっくり返す!サヨナラ勝ちで春夏連続甲子園に王手!【2024夏の甲子園】

2024.07.26

「岐阜県のレベルが上がっている」県岐商が2年ぶりの決勝進出も、岐阜各務野の戦いぶりを名将・鍛治舎監督が称賛!【24年夏・岐阜大会】

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.21

名将・門馬監督率いる創志学園が3回戦で完敗…2連覇狙う履正社は快勝【近畿・中国実力校20日の試合結果】

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」