大阪桐蔭vs金光大阪
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2打席連続本塁打を放つ西田直斗(大阪桐蔭)
大阪桐蔭強打で金光大阪を粉砕!
「強い、ちょっと抜けている」。
この日の試合を観戦した高校野球ファンの多くはこんな心境になったのではないだろうか。
1番西田直斗(2年)の2打席連続本塁打、5番田端良基(1年)の2ランなど、ヒット9本のうち7本が長打。
外野の頭や横をいとも簡単に抜いていく打球に、「秋の(段階の)チームとは思えない」と金光大阪・横井一裕監督も脱帽。
「今日の金光大阪が相手だからという特別な意識ではないですが、選手がしっかりと試合に臨む準備をしてくれたおかげ」と勝った大阪桐蔭の西谷浩一監督。
さらに付け加えたのは「選手の秋にかける思い」だった。
今夏は大阪大会3回戦で桜宮に敗退。春夏連続出場を目指した旧チームは思わぬ形で早く終わってしまった。
その旧チームのスタメンに名を連ねていたのが西田直斗をはじめ、4番の河原右京、主将になった廣畑実、ショートの山足達也と4人の2年生。そして4番の前後を水本弦、田端良基と2人の大型1年生が支える新チームの構成となった。
「新チームのスタートから時間はありましたから」と西谷監督が話すように、秋に向けてしっくりと振り込んだ。この日早朝も指揮官が到着する前からグランドで打ちこんできたという。その成果は10月に入って発揮された。
投げては背番号『10』1年生右腕・藤浪晋太郎が7回を1安打1失点。1回の1死1,2塁のピンチを併殺で凌ぐと、2回以降はスイスイ。5回にノーヒットで1点を失ったが、結局エースの中野悠佑(2年)の出番を仰ぐことなく完投した。直球は自己最速を更新する143キロを計測した。
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5回にHRを放った田端良基(大阪桐蔭)
大一番と目された試合での1年生投手起用。
「中野も調子は非常に良いのですが、藤浪はハートの強い選手。昨日(4回戦)も投げていて、連投の方が向いている」と西谷監督は説明する。
「後ろに中野さんが控えているので」という藤浪は序盤から飛ばした。195センチの長身右腕は四死球を与えても動揺することなく、指揮官の期待通りのピッチング内容だった。
「まだ今の時期は手応えはないです」と西谷監督はチーム状況を話すが、中田翔(北海道日本ハム)らが強打を誇った4年前、全国制覇をした3年前のチームに匹敵する素質の高さをこの新チームに感じることができる大阪桐蔭。
週単位でチームが大きく成長する秋の大会。2年連続の選抜出場へ向け、この後、好投手を抱えるチームとの対戦が非常に楽しみだ。
一方、思わぬコールド負けを喫した金光大阪。
横井監督は「チームの基礎がまだまだできていない。(来夏へ向けて)出直しです」と肩を落とした。
その上で「大阪桐蔭さんに勝たなければいけない部分でも負けている。ウチの選手は元気がないですから」と嘆いた。
力の差はともかく、元気や全力疾走などの部分が横井監督が話す、勝たなければいけないところ。
「バット引きの選手も全力で走る」と横井監督は大阪桐蔭戦と対戦する度に刺激を受けてきた。
それをこのチームで初めて対戦した選手がどこまで感じられたか。
一冬を超えてどんな答えを出してくれるか楽しみにしたい。
(文=松倉 雄太)