試合レポート

延岡学園vs聖心ウルスラ学園

2010.10.03

2010年10月02日 アイビースタジアム

延岡学園vs聖心ウルスラ学園

2010年秋の大会 第127回九州地区高校野球宮崎大会 3回戦

一覧へ戻る

投打の柱・濱田(延岡学園)

ひと夏の経験

「さすがに大舞台を経験しているチームは動じることがない。ウチはやれるだけのことはやった。となれば、あとはもう経験の差ですよ」
といって完敗を認めたのは聖心ウルスラ・石田敏英監督だ。
勝負の世界で頻繁に聞かれる “経験の差”というフレーズ。そもそも“経験の差”とは何か。そして、この試合で見られた、その“差”とは何だったのか。

 
聖心ウルスラは2回、延岡学園先発の矢野を攻め、2点差を逆転しなおも走者を溜めて一死満塁。2番・新名弘輝の浅い右飛に三走・松井功太がタッチアップ。本塁を衝いたがあえなく憤死に終わった。たしかに浅かった。そのスタートはギャンブルの域を超えていたようにも思う。制球に苦しむ延岡学園・矢野聖士に対して畳み掛けたい場面。一気に突き放したい局面でのミスを、石田監督は振り返るのである。

さらに石田監督が「折り返しの失点」と振り返る5回の1失点だ。
初回に2点の先制を許したものの、その後は小気味良いテンポと時折唸りを挙げるクロスファイアで延岡学園の強打線を抑えていた聖心ウルスラ先発・横山大晴。

しかし、5回は二死から2番・小幡和弘に内野安打を許すと、3番・谷村康太の右中間打で同点とされる。

単打で一気に本塁生還を果たした小幡の走塁、狙いどおりの真っすぐをしっかりと逆方向へ押し込んだ谷村も見事といえるが、続く県屈指の好打者、4番・濱田晃成の前でフルカウントと苦しい状況を作ってしまった結果、浴びてしまった痛打だったのである。バッテリー、守備陣を動揺させ、そこで生じる隙を見逃さない。
石田監督が痛感した両チームの“経験の差”とは「局面における冷静な判断力」だったのである。


横山(聖心ウルスラ)

 一方、延岡学園
5回裏に同点とするも、直後の6回表に4失点で7-3。この試合でもっとも得点差が広がり、夏の代表校は窮地に立たされたかのようも見えた。
しかし、ここで物を言ったのも“経験の差”だったのである。

「甲子園に出場したことで、他チームよりも1カ月以上チーム作りは遅れています。ただ、甲子園に出場できたからこそ備わった自信もあるんです。それについては、この試合でも発揮できたと思いますね」(延岡学園・重本浩司監督)

「向こう(延岡学園)は柱がしっかりしている。でも、その柱が倒れることはありませんでしたね」

聖心ウルスラ石田監督のいう、そのビクともしない柱が、夏の甲子園でも4番を打っていた濱田。
この秋からは背番号1を背負い、文字通り“投打の柱”を担っている。この試合で終盤4イニングを投げ勝利投手となった濱田が、しゃあしゃあと言ってのけるのである。

「途中リードはされましたが、甲子園での初戦(大分工戦)と同じような展開だったので、とくに慌てることはなかったです。試合はゲームセットまで何が起こるか分かりませんし、あの経験があったから、諦めるなんてことはありませんでした」

2点を追う9回の延岡学園は、7回にバックスクリーン弾を放った長池城磨の右線二塁打を皮切りに、4安打を集中させ勝負を決めた。サヨナラが成った9回裏に、勝負どころを逃さなかった延岡学園。そして同じ局面でタイムリーエラーが飛び出してしまう聖心ウルスラ。これが石田監督のいう“経験の差”ということになのだろう。

(文=加来慶祐

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.25

【ポニー】春夏連覇を阻止して初優勝!筑後リバーズが夏の日本一に輝く

2024.07.25

センバツ覇者・健大高崎が決勝進出!天敵の前橋育英に6点差を追いつかれるも10年ぶり夏勝利!

2024.07.25

春の近畿王者・京都国際、逸材揃いの2年生たちの活躍でコールド勝ち! 黄金時代が続く予感【24年夏・京都大会】

2024.07.25

大阪桐蔭が今夏初失点も8強入り!報徳学園はセンバツ準V右腕の快投でベスト4進出【全国実力校24日の試合結果】

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.20

枕崎が1時間半遅れの試合でも集中力を発揮!堅守を発揮し、2年連続の8強!【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.20

伊集院の好左腕・新藤、終盤力尽き、鹿児島実に惜敗【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」