試合レポート

下妻二vs土浦湖北

2010.10.01

2010年10月01日 土浦市営球場

下妻二vs土浦湖北

2010年秋の大会 秋季茨城県大会 準々決勝

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2安打完封をした諏訪君(下妻二)

県内公立の雄対決は好投手戦、下妻二が土浦湖北を2安打完封

 雨で、日程がずれ込んでいた茨城県大会の準々決勝。この日も前日夜まで降り続いた雨でコンディションが心配されたが、予定通りのプレーボールとなった。

 県内の公立校では、近年安定して上位に進出している両校。チームカラーも似通っており、ライバル同士といってもいいのだが、期待にたがわぬ好試合になった。試合は、予想通りテンポのいい投手戦で進んだ。

 土浦湖北はやや変則気味で手の出所がわかりにくいという特徴のある右の佐藤翔太君。下妻二は抜群の制球力がある左腕の諏訪君という両先発投手が自分のリズムを守って好投していた。ともに、背番号は11番、10番と2桁を背負ってはいるものの、存在としてはエース格といってもいいだろう。

 4回を終わった時点でともに3人ずつで抑え、一人の走者も出させない状況が続いていた。

5回にやっと土浦湖北が小松崎君のボテボテの内野安打で出塁し、バントなどで三塁まで進めたが無得点。その裏、下妻二も初安打が出たものの得点にいたらず、5回を終えて僅かに50分。スピーディーな展開だった。

 こうなると怖いのは、失策、不用意な四球、一発長打ということになるのが常なのだが、6回は下妻二に九番高橋君の左線二塁打が出た。バントで1死三塁とされても、ここから佐藤翔君が踏ん張った。そのまま延長の可能性も十分に考えられる展開となってきたが迎えた7回、先頭の四番後藤君が狙いすましたかのように初球を叩いて左翼スタンドへ運んでいった。佐藤翔君としては、ここまで抑えていたスライダーが少し甘く高めに入ったところだったが、それを呼び込んだ後藤君が一枚上だったということだろうか。


谷田部君(土浦湖北)

 これで勢いづいた下妻二は、8回にも1死から一番石内君が右越三塁打すると、スクイズもありかなと思われた場面で、二番廣瀬君は迷うことなく打っていって期待に応えるタイムリーの左前打で2点目が入った。

 試合後に、小菅勲監督はこの場面について、「この大会に入って一番当たっている打者でしたから、6回の同じ場面でも打たせました。その時は打てなかったのですが、次は打てるだろうと思ったのですが、前打席の失敗を修正してうまく打ってくれました」と、まさにベンチの信頼に応えたものだった。そして、「こういう苦しい展開の試合をものに出来たということで、試合を通じて選手たちは確実に成長していってくれます」と、ここへ来て好感触を得ている様子だった。

 この日の諏訪君の出来からしても、あと1イニングで2点リードは下妻二にとってセーフティーに近いといってもいいものだった。9回の諏訪君は、投手返しの打球を背面キャッチみたいな形で阻止して内野ゴロとするなどの妙技も披露しながら抑え、結局2安打完封。見事といっていい内容だった。

 これで、いつも競った戦いをしながら下妻二に対しては公式戦では6連敗となってしまった土浦湖北。「別に苦手意識とか、そういうものではないのですが、いつもこういう試合で負けてしまうということは、どこかに微妙な差があるということなのでしょうか。投手を中心にして守っていく野球というのは、ウチのスタイルですから、これにもう一つ何か加えないと…、それが来年までのテーマです」と、小川幸男監督は、がっくりとしつつも、しっかりと新たなチーム作りを見据えていた。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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