享栄vs豊田西
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神谷佳樹(享栄)
つなぐ意識で猛打爆発!享栄13得点で東海大会進出決める
「(こんなに打ったのは)まぐれですよ」と言いつつも、享栄・彦坂明人監督の表情は明るかった。
2本のホームランなどで13得点を挙げ、東海大会進出を決めた。
「特別に誰か一人が、というのではなく、『会話をしよう』というテーマのもとで、みんなで(打線を)つなぐ、みんなで戦う意識を選手に持たせています」。
この日も見事に打線がつながった。
3回表は、先頭打者の神谷佳樹が安打で出塁すると、2番・村田遼太郎がきっちり送りバント。3番・杉本力也が安打で続き、四球を挟んで5番・長谷川竜也が左翼席へ満塁ホームランを叩きこんだ。
「長谷川は真面目な選手で、バッティング練習にも熱心に取り組んでいます。8月末に足を疲労骨折して、県大会の初戦は出場していないんですよ。
復帰2日目の愛産大工戦(県大会2回戦)では、守備で2つミスがあったんですが、攻撃に専念すればいいと言ってやりました。キーマンになってくれていますね」と、彦坂監督も頬を緩めた。
個々の頑張りや能力の高さと、つなぐ意識が、猛打に結びついている。
全体的にバットが振れている享栄打線の中でも、特にいい働きをしているのが1番の神谷だ。筆者が約1週間前に初めてこの選手を観たときは、ハツラツとしていて打てるリードオフマンという印象を受けたが、この日も5度打席に立ち「二塁打、安打、犠飛、犠打、四球」と、すべての打席でチームに貢献。今大会ここまでの打率は6割を超える。「気持ちで打っています。1番打者なので、いかにチームに良い流れをつくれるかを考えています」とは本人談。身長179センチと上背もあり、スピード感ある走攻守が魅力だ。
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神鳥猛流(享栄)
4番の神鳥猛流は、身長181センチと大型で、ここまで高校通算20本を超えるホームランを放っている長距離砲だ。小学校6年時に横浜市へ転校したが、小学校時に所属していた春日井リトル(愛知県)の監督の縁で、享栄に進学。1年時から主軸打者として活躍してきた。この日は4打席で3つ四球を選び、警戒されているのがよく分かる。体のキレが増せば、さらにスイングスピードも速くなるはずだ。
他にも享栄は、彦坂監督が「あんなデカイのが8番打者にいたら(相手投手は)イヤでしょう」と語る身長184センチの阿部哲也が、この日高校通算5本目のホームランをかっ飛ばした。最速140キロを超える左腕の杉本は、本調子から程遠い出来で、7回途中でマウンドを降りたが、まだまだ球は速くなりそうな素材。
「去年はなかなか勝てませんでしたからね。今までは、選手にミスを恐れる面があった。『ミスはお互いさまだ。監督のオレだってサインミスはいっぱいある。ミスを取り返す、ミスをカバーし合うことが大切なんだ』、そんなことを選手に言ってきました」とまとめた彦坂監督。今秋の享栄は強い。
(文=尾関 雄一朗)