新潟明訓(新潟)vs九州学院(熊本)
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池田駿(新潟明訓)
新潟明訓・池田が完封!好投手対決を制する
第65回国民体育大会高等学校(硬式)野球競技会が開幕した。
今日は絶好の野球日和。多くの野球ファンが銚子に集結した。
開幕戦は新潟明訓の池田駿(3年)、九州学院の渡辺政孝(3年)の投手戦。
9回に新潟明訓が1点を入れてサヨナラ勝ちを収めた。
【池田駿】
130キロ台後半の速球に切れ味鋭いスライダーを武器に甲子園で活躍した池田は今日も快投を見せた。
甲子園に比べて足の巻き込みを大きくしてトルネードっぽいフォームになってきた。左オーバーから投げ込む直球は切れており、キレのある直球がコントロールよく決まった。
彼の武器であるスライダーだが、高校生としてはハイレベルなキレを誇る代物だ。鋭い腕の振りから繰り出されるスライダーは手元で急激に落ちていくので、高確率で空振りを奪える。
また小さいスライダーもあり、二種類のスライダーとフォークを投げ分けながら九州学院打線を抑え込んだ。
いつも神田健太の継投を仰いでいたが、今日は最後まで投げ切った。
高卒プロタイプではないが、大学では即戦力として期待できる内容を示していた。
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左:田村昌大 右:山本英晶(新潟明訓)
【田村昌大】
小柄ながら力強い打撃と軽快な守備を示していた田村昌大(3年)は守備で存在感をアピール。
グラブ捌きが柔らかく、守備範囲も広いし、地肩も強い。ショートに求められるものを満たしているが、何より素晴らしかったのが捕球してからボールを右手に持っていくまでの持ち替え。この持ち替えの速さがスピード感のある守備を支えている。
持ちかえの速い守備は高校生にとっても参考になると思うので、田村に聞いてみた。しかし本人は「それほど意識しないで、自然にできるようになった」と答えてくれた。これには驚いたが、次の発言で納得した。
「先輩に上手いショートがいたので、その先輩のプレーを真似て練習していました。その練習を積み重ねていたら、自然とできるようになっていました」
観察しそれをプレーに落とし込み実行することに長けた選手なのだ。上のレベルで大成するには観察力に長け、良いと思ったものを吸収し、根気強く取り組む姿勢も一つの大事な要素になる。
田村は高いレベルでもやっていけるだけの素養をもった選手だといえるだろう。気もかなり強く、ただではへこたれない強さをもった選手。ぜひ次のステージで活躍してくれることを期待したい
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渡辺政孝(九州学院)
【渡辺政孝】
九州学院の渡辺政孝。体調不良により日米野球の代表を辞退。復帰し始めたのは10日前だという。しかしピッチングでは調整不足とは思えない投球を披露。立ち上がりこそボールがあまり走っていなかったものの、徐々に調子を取り戻していき、130キロ中盤の速球をコーナーに投げ分けていき、5回二死までノーヒットピッチングを展開していった。
甲子園のように多彩な変化球を投げ分ける配球パターンではなかった。それを伺うと「技術的なことよりもとにかく気持ちで放ることを考えて投げました」と答えてくれた。
調整不足でもしっかり投げられるのは気持ちの強さがあった。 そしてその気持ちの強さの裏には、1年間エースを務めた経験が活きていた。エースは不調でもマウンドに登らなければならない。言い訳せず常に九州学院のマウンドを守ってきた彼が高校生活の最後でエースの意地を見せてくれた。
九州学院は下級生の活躍が目立ったが、この試合ではミスが目立った。ショートの溝脇隼人はシートノックからボールを弾く場面が目立ち、そして8回にはセンター前ヒットを放ったさいに飛び出しすぎてアウトにするボーンヘッドもあり、彼らしくないプレーがあった。
スピードスターの山下翼も牽制を飛び出し、アウトになり、9回の守りではバックホームの返球で大きく暴投してしまい、サヨナラ負けを招いた。彼もらしくないプレーが続いた。
1年生4番の萩原英之も池田のスライダーにことごとくタイミングが合わず空振り。1安打を放ったものの、左投手の対応に課題を残した。彼は足の上げ幅が小さく、間が取れない。そのため打つポイントが限られており、脆さを抱えたスラッガーで、高校レベルのスラッガーから上のレベルで活躍できるスラッガーになるには左投手の対応を高めることが不可欠になることが明らかになった。
そして秋からサードに転向。動きは重く、ばたついており、まだまだだ。
坂井監督は「3年生はよくやったが、下級生のミスが目立った。熊本に帰って、基本をもう一度、叩き込ませる。今回はそれがわかっただけでも収穫といえます」と下級生を鍛え直すことを決意した。