関東一(東京)vs報徳学園(兵庫)
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宮下明大(関東一)
関東一、甲子園を沸かせた「猛打」再び!
強力打線で甲子園ベスト8の関東一と、そつない攻撃で接線を勝ち上がってきた報徳学園の対決となったこの試合。
関東一高が14安打を放ち、小刻みに点を重ね報徳学園に快勝した。
甲子園で猛打を見せた関東一打線が国体の場でも爆発した。
甲子園が終わっても自主的に振り込み、打ち込みを続けた成果が現れたかたちとなったが、中でも際立っていたのは1番山下幸輝、4番宮下明大、5番本間諒だ。
山下はなんと5打数5安打の大爆発。第1打席にセンター前、第2打席もセンター前、第3打席、第4打席、第5打席はライト前。すべてクリーンヒットを打った。甲子園では2ホーマーを放ったが、「自分は長距離打者ではない」と自覚している山下らしい打撃を発揮できたのではないだろうか。
なんといっても彼はインパクトまで最短距離で振り抜くことが出来ており、フライを打ち上げることがきわめて少ない。
軸、目線がぶれないので、的確にボールを捉えることができている。盗塁も決め、そしてセカンドの守備も安定しており、走攻守にバランスが取れたプレーヤー。大学では即戦力として期待できるのではないだろうか。
5番の本間は3安打。左中間を破るツーベース、レフト前ヒット、センター前ヒットと逆方向~センター方向を心掛けた打撃。甲子園では勝負強い打撃を見せた本間だが、この試合でも勝負強さを発揮した。リード面もエースの白井をリードし、完投勝利を演出した。
高校通算44本塁打の宮下も2安打。鋭いファールを見せていたが、彼自身も一発を狙っていたという。最後に右中間を破るスリーベースを放ったが、この試合では一番内容の良かった打席であった。
彼はネクストバッターサークルからインステップで踏み込んで体を開かずに打ち返すことを意識しているように見える。打撃においては高い意識を置いているようだ。
課題は守備。この試合でも前の打球を弾き、エラーを喫した。本人も守備は苦手にしていると話しており、足を引っ張らないようにやっているようだ。
これだけの素材を持つ選手だけに気になる今後の進路だが、プロ志望するかどうかは迷っているようで、答えが出るのは先になりそう。ただ、「社会人を志望しています」とはっきり答えた。
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大西一成(報徳学園)
エースの白井慶一は素晴らしい投球。関東一の米澤監督によると「ベンチから甲子園より出来がよいのではないかという声がちらほら出ていた」という。実際にこの試合の投球は甲子園より格段に良かった。キレの良いストレートをコーナーに投げ分けていき、スライダーを交えながら報徳打線を抑え込んだ。甲子園より良い状態の白井を見られたのは収穫であった。
報徳学園の大西一成は8回4失点。甲子園に比べてもそれほど変わらない印象を受けた。ストレートも135キロ前後は出ていそうで、持ち味のスライダーも切れており、ストレートとスライダーのコンビネーションで抑え込んでいたが、徐々にボールが高めに浮き、関東一の打線に打ち込まれていった。大西に自身の投球を振り返ってもらった。
「調子自体は甲子園に比べると8割ぐらいでした。ただ現役に比べると練習量が減ってしまったため、後半はばててしまったと思います。関東一の打線は高めに浮いた球をしっかりと捉えてきましたし、なんとか低めにつきましたが、どうしても高めに浮いてしまいました。原因は? 練習不足です。それがはっきり出た試合だったと思います」
甲子園が終わった後、報徳学園の3年生は新チームの練習を優先させるため殆どまとまった練習をやらず、ぶっつけ本番の形となって国体に臨んだ。
そのため甲子園で見せた堅守は綻びが見え、内野手の多くがファンブル、送球ミスことも多々あった。
大西も投げ込む数は以前より減り、最大でも80球しか放れなかったという。それでも8回まで試合を作ったのはさすがはエースだ。
今後は大学進学の予定。ぜひ大学でブレイクをすることを期待したい。
(文=編集部 河嶋宗一)