東洋大姫路vs龍野
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原樹理(東洋大姫路)
直向きさと修正力が復活の第一歩
「夏に強い東洋」といわれた東洋大姫路も、4年前に夏の兵庫県大会11回目の優勝をした後、この夏までの4年間は初戦敗退が2回の通算2勝だけ。7月の兵庫県大会終了後、4年前の夏の甲子園でベスト8・2年前の選抜甲子園でベスト4に導いたOBの堀口 雅司監督が辞任。関西創価高校と大阪体育大学野球部OBで、東洋大姫路のコーチを務めて9年目の大村 進志監督代行(31歳)がチームを率いることになりました。
初戦の姫路南を7対0・7回コールドで破り、2回戦・県立伊丹に延長12回サヨナラ勝ちして、3回戦に勝ち上った東洋大姫路が、1回戦・西宮北を6対4、2回戦・市立神港に11対3・7回コールド勝ちしたバッティング好調の龍野とどのような戦い方をするのか? 大村監督代行となって最初の県大会だけに、注目が集まりました。
東洋大姫路の先発は、1年の夏からベンチ入りをしている2年生エースの右の本格派・原樹理。東洋大姫路の大村監督は、エース原が尻上がりに良くなるタイプだけに、あたっている龍野のトップバッター中川を注意するようバッテリーにアドバイスしていましたが、その不安がいきなり的中します。
原のストレートがシュート回転して真ん中に入り、中川がライトオーバーの2ベース。3番・岸野には、先制タイムリー2ベースとエース原が、初回に3本のヒットを打たれ、東洋大姫路は、いきなり2点ビハインドの追いかける試合展開となります。
ここで試合の流れを変えたのは、エース原のボールを受けるキャッチャーの後藤田でした。立ち上がりの悪い原が、いつも以上に不調だと感じた後藤田は、ストレートから変化球を主体としたピッチングに切り替えます。龍野のバッターは、内外角にウィークポイントがあることに気づき、低めに落ちるスライダーを決め球に使い始めます。そうすると、龍野のバッターが落ちるスライダーを振るようになり、3回からピッチングが楽になったエース原の調子も良くなります。そして4回裏、ヒットとフォアボールで出塁し、送りバントで3塁2塁に進んだ3番・中島 兼太と4番・宮原を、5番キャッチャーの後藤田が、ピッチャー返しの同点2点タイムリー。さらに、2回戦でサヨナラヒットを放った6番エース原が、ライトオーバーの逆転タイムリー2ベース。ピッチングを修正したバッテリーが、攻撃でも試合の流れを引き寄せまると、8回には5番・増田がライトオーバーの2ラン・ホームランを放ち、勝負を決めました。
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柴原丈詩(龍野)
龍野は、スターティングーメンバー9人中5人が1年生で、のびのびとしたプレーが攻守にあらわれ、9回に2本の長短打で1点を返した攻撃は見事でした。また、右オーバースローの柴原とキャッチャー高木の1年生バッテリーは、1年生とは思えないピッチングで、東洋大姫路打線を8安打完投。この経験を来年につなげて、冬場のトレーニングにつなげてもらいたいと思います。
試合終了後、同点タイムリーを打ち、調子の悪いエース原をリードしてベスト8入りを果たした東洋大姫路のキャッチャー後藤田は、「次の試合では、インコースをもっと攻めて、アウトコースのストレートが決まるように練習して、内外角のボールの出し入れが上手いピッチングをします。」としっかりとした眼差しで話しました。
また、大村監督代行は「エース原が引っ張る守りのチームなので、一生懸命・直向きにプレーすることが一番大事だと教えています。今年は、何をやり出すかわからない選手が多いので、これから楽しみなチームになると思います。この秋の大会では、来年の夏に向けてレベルアップできる経験をたくさんしてほしい。」と語りました。
東洋大姫路のコーチを務め、勝った時も負けた時も、球児たちを傍らで支えてきた大村監督代行。東洋大姫路ナインも、コーチ時代から指導を受けているだけに、監督代行と選手の信頼関係は抜群です。直向きなプレーを練習で培い、試合中、選手自らが修正しながらプレーする力を伸ばしていくことが、甲子園で活躍した先輩たちに近づく第一歩かもしれません。
準々決勝の相手は、去年秋の県大会の3位決定戦で、8対0・7回コールド負けした神港学園。その神港学園に対して、東洋大姫路ナインが、直向きさと修正力で、どういう野球を見せてくれるのか楽しみです。