熊本国府vs熊本工
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ダイアモンドを一周する稲倉大輝(熊本国府)
4番・稲倉大輝、場外含む2ホーマーで7打点
藤崎台の秋空に飛ぶ無数の赤とんぼも、ダイアモンドを一周する4番打者を歓迎するかのようにみえた。
その4番とは、熊本国府の主将・稲倉大輝。
まずは守備で魅せた。
初回、1死満塁の大ピンチに熊本工の6番・今村翔太郎の強い打球はセンター方向に飛んでいった。
あらかじめセンターよりに守っていたという右翼手・稲倉はアッと言う間に右中間の打球に追いつき、すぐさま二塁へ矢のような送球で併殺に仕留めた。
そしてその裏、1死1、2塁の場面で打席に立ったのは4番・稲倉。
強烈なスイングから振り抜いた打球はまるでピンポン玉のように両翼99mの藤崎台県営野球場の左翼後部のフェンスを遙かに越える場外弾!
「右方向を狙っていましたが、いい球がきたので思い切って振り抜いたら入りました」と稲倉。
本人は入りましたという表現をしていたが、打球は遙か場外へ消えていったのだ。しかも高校生の打球とは思えないほどの超高校級のアーチに筆者も舌を巻いた。
4回裏、2死満塁のチャンス。またも4番・稲倉に打席が回ってきた。
これまたドンピシャの左翼中段へ飛び込む満塁弾だ。
この試合、3打数2安打、2本塁打で、しかも7打点と十二分に4番の仕事を果たした。
これで公式戦3本目となる高校通算16号。2年春から短期間の間で13本の本塁打を積み重ねてきたことになる。
この日の稲倉の圧巻弾は、長引く熊本の残暑を吹き飛ばしたかのように試合後、街はすっかり涼しくなり一気に秋の気配が深まったような気がした。
それはまるで「この秋の主役は俺たちだ」と言わんばかりのように。
(文=PN アストロ)