報徳学園vs姫路西
2010年09月20日 明石公園球場
報徳学園vs姫路西
2010年秋の大会 平成22年度秋季兵庫県高校野球大会 2回戦
田村伊知郎(報徳学園)
なぜ、ベスト４まで行けたのか・・・
今夏の甲子園ベスト４の報徳学園、新チームはこれが２戦目。
立ち上がりこそ姫路西の右腕・山名崇博(２年)の前に苦しんだが、３回に４番越井勇樹(２年)のタイムリーで先制すると、中盤は小刻みに追加点。
エースナンバーを受け継いだ田村伊知郎(１年)は初の９回完投こそコールドでならなかったが、自己最長となる８回を投げ４安打無失点。与えた四球はわずかに１、投球数も１００球と貫録を見せた。
｢調子は良くなかったが、試合に入ってから落ち着いて投げられた。でも課題の中盤は球が浮いてしまいまだまだです｣
と話した田村。永田裕治監督も｢徐々に良くなってきている｣とこの日のピッチングに及第点を与えた。
越井勇は｢夏の甲子園に比べると、打席での気持ちに余裕が持てるようになりました｣と興南(沖縄)戦で最後の打者になった悔しさが生きているようだ。
甲子園で試合に出ていたのは上記の２人だけ。指揮官は｢投手と４番が残ったので後は周りを固めていければ｣と新チーム結成段階の構想を話していた。
その周りは、１番の武内一馬(２年)が三塁打１つを含む４安打で３盗塁。５回に代走で起用された光田大輝(２年)は盗塁で相手の失策を誘って追加点に繋げるなど、甲子園を沸かせた『走る報徳』の伝統は新チームの最初でもしっかりと受け継がれている。
と、ここまで書けば完勝にも見える内容。ところが・・・
田村伊知郎(報徳学園)
[/nophoto]
試合後のベンチ裏。ミーティングで指揮官は選手を叱った。その怒声には次の試合に備えてベンチに入っていた川西北陵の選手もビックリするほど。
その内容はあえて書かないが、５番で４打席ノーヒットに終わった捕手の佐渡友怜王(１年)、８回にノースリーのカウントから簡単に手を出してピッチャーフライに倒れた田村など１年生４人がスタメンを占める若いチーム構成。スタートが遅く実戦経験が少ない分、勝っているときにこそ、チームを引き締め直す指揮官の強い意志の表れだ。
外で、メンバー外の全選手を集めてもう一度ミーティングを開いた。今度は諭すように話した指揮官。
「報徳に野球は全員一丸の野球。スタンドも含めてまだまだ元気がない」。
弱いと言われ続けた３年生が夏の甲子園でなぜベスト４までいけたのか。苦しい時はマウンドに集まった選手がスタンドを見てくれた。それは全員一丸でなければ勝てないことを強く感じていたからに違いない。
そのスタンドにいた下級生が今度は実感する番。全員一丸の野球を早く身につけることが夏春連続出場へのカギとなりそうだ。
（文＝松倉 雄太）
