都千歳丘vs都城東
![](/images/report/tokyo/20100920004/photo01.jpg)
千歳丘・根本君
千歳丘エースで四番・主将の根本君がフル回転
まさかと思った、と言ってしまったら都立千歳丘に失礼になってしまうかもしれない。しかし、近年に2度甲子園に出場を果たし、都大会の本大会進出の常連校でもある都立城東だ。まして、都立千歳丘はベンチ入り20人にも満たない15人の登録である。やはり、順当ならば城東だろうと思わざるを得ないのが普通だ。
だから、序盤から中盤にかけて0―0のまま進んでしまった段階で、「おや?」という感じがあったのも確かだ。
ただ、都立千歳丘のエースで四番、主将でもある根本君は投手としてはダイナミックに力強く投げ込んでくるし、攻守交代も一番早く飛び出していくし、気持ちでも仲間を引っ張っているという感じが見えていた。
そして、それについていこうという気持ちを示すかのように、都立千歳丘各選手たちは決してカッコよくはないものの、確実に一つひとつをこなしていっていた。
回を追うごとに、球も走っていく根本君を見ていると、都立千歳丘が先制したらわからないなと思いだした矢先の5回、都立千歳丘は小柄な九番藤野君が三遊間を破って出ると、バント失策で一二塁。梅澤君が送って1死二三塁としたところで、三番新井君が左前打して二者を返した。都立千歳丘としては、いい流れに乗った先制となった。
そして7回、都立千歳丘は根本君が中越に好打。二塁ベースを蹴った段階でさらにスピードを増し、一気に本塁を狙おうという意思で走り、ランニングホームランとした。思い切りのいいナイスランニングだった。試合の流れとしても、大きな意味のある1点となった。
![](/images/report/tokyo/20100920004/photo02.jpg)
城東の小杉君
都立城東は、1回から9回まで毎回安打しながら一本ずつの9安打で無得点。拙攻といえば、拙攻でもあった。中盤には、「何とかしなくては」という気持ちがさらに焦りを招いていたようでもあった。都立城東としては、初回に先頭の小川君がいきなり三塁打しながら、後続が抑えられた。これが最後まで響いた。3回には1死一三塁から鳥山君がスクイズを試みるが、空振りで三走が挟まれ、さらに三塁を狙った一塁走者も三塁で刺されるという変則併殺で一気に好機を潰したのも痛かった。
夏の大会以降、平岩了監督が訳あって退きコーチ的立場となり、桜井俊之監督が指揮を執ったが、「打てませんでしたね。えっ! 毎回安打ですか、そうですか。攻めきれませんでしたね」と、まさかのブロック予選での敗退に肩を落としていた。
(文=手束 仁)