愛知啓成vs成章
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石田(愛知啓成)
チェック不可欠!毎年粒揃いの愛知啓成
2006年のセンバツ甲子園に出場し、1勝を挙げた愛知啓成。
当時のチームが好きで、筆者はまだ大学生だったが、甲子園まで追いかけたものだ。
初戦を勝って迎えた2回戦の対PL学園戦は、8回を終わって0-0と拮抗した展開に。9回表に決勝点を許し惜敗したが、大善戦であったと思う。打線は相手エースに0点に封じられたが、その相手主戦が今やプロ球界を代表する右腕・前田健太(広島)となれば、仕方のないところだ。
当時の愛知啓成のエース、水野貴義(現・明大)は、球速は120キロ台ながら、機械のような精密なコントロールと多彩な変化球が素晴らしかった好投手。前田健太からツーベースを放った森越祐人(現・名城大)、小柄ながら強肩強打の野口啓吾(現・愛知大)と、おもしろい選手が揃っていた。
以後、甲子園出場はないものの、毎年県で上位に進出し、屈指の強豪校となった。
昨夏の注目投手・小出智彦(現・近大)は、先々週の関西学生リーグで早くも初勝利を挙げる即戦力ぶり。
この夏主戦を務めた中川凱登もプロ注目の好左腕だ。
さて、新チームの愛知啓成であるが、現時点で特段に際立った選手はいないものの、やはり実力のある選手が並んでいる。
3番打者の野田賢志: トップでグリップを深めに引き、体のバネを利かせながらビシッとバットを振れる。外の球に対しても、リストを絞りながら強く振れるのがいい。
1番打者の石田将大: 今日の試合では猛打賞の活躍。第1打席はプレーボール直後の初球をライトへツーベースにし、先制点へつなげた。第3打席で投前送りバントを内野安打にした俊足も武器だ。
1番打者・3番打者は打力も走力も求められるが、両者はともに打順イメージ通りの左バッターという感じだ。
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浅田将太(愛知啓成)
右バッターでは、8番打者の浅田将太が個性的。
190センチ前後の長身選手で、「一本足打法」の打撃フォームだ。だが、足を上げて投球を待つ間に、軸足がピクピクするシーンがあった。体がフラフラしていては、せっかくの一本足打法も軸がぶれるし、タイミングが合わなくなってしまう。
それでもこの試合では、低目の球を拾うようにバットを出してレフト前に落とすシーンもあり、フォームは開発途中でもヒットを打てるのは素質の一端か。
これだけの上背がある選手なのだから、足腰が鍛えられてガッシリしてくれば、大きな成長も望めるかもしれない。
その他、夏もレギュラーの背番号を背負っている大西諒や坂英雄もチームの軸となる選手だ。具志堅学や土本光成の投手陣も楽しみな素材。
この日の成章戦では、打線は満塁の好機を潰すケースや、四死球から3点リードを追い付かれるシーンもあった。次戦(23日)の豊田西戦に勝てば県ベスト4となり、東海大会へ近づく(3位以内で東海大会進出)。2006年以来のセンバツがいよいよ視野に入ってくる。
(文=尾関 雄一朗)