岡豊vs高知丸の内
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壬生武稔投手(岡豊2年)
岡豊左腕・壬生、「奪三振マシン」急変の理由
正にそれは「急変」という言葉がふさわしいものだった。
この日、岡豊のマウンドに登板した左腕エースの壬生武稔(2年)は、2試合連続となる完封こそ9回2死から逃したものの、124球で5安打1失点の完投勝利。さらに特記すべきはその奪三振数である。8月に県新人大会までは120キロ台の直球とカーブを丁寧に低目へとコントロールする「軟投派」のイメージが強かった壬生であるが、1回戦の中村戦でマークした秋季高知大会タイ記録の18奪三振に続き、全て空振り三振での12奪三振を記録。「奪三振マシン」への変貌を堂々と結果で証明したのだ。
このように彼が変貌した理由はやはり夏休みにおける練習にあった。「夏はクロスファイヤーの練習をずっとやってきた。それをやらないとカーブが活きないですからね」。伊野商監督時代は渡辺智男(現:埼玉西武ライオンズスカウト)、昨年も145キロ右腕の田内亘を育てるなど投手育成には定評のある山中直人監督は、彼の強化ポイントの一端をこう語る。
右打者の内角低めでカウントを取り外角変化球で空振り。あるいは変化球でカウントを取り内角低め直球で勝負。この2パターンを確立できたことが、壬生の投球スタイルを変えるきっかけとなったのである。
とはいえ、まだ直球のスピードは出ても130キロ程度。変化球も新球を取得途上と「本格派」という称号を付けるにはまだまだ課題も多い。まずは3回戦、「8月の練習試合では最後は試合にならず連敗した」(山中監督)I土佐相手に、170センチ・60キロの細腕左腕がどんな内容と結果を出せるか。今後の高知県高校野球勢力図を占う上でも、楽しみな一戦となりそうだ。
(文=寺下 友徳)