高崎商vs富岡
金井(高崎商)
大型右腕・金井、好投!! 高崎商がベスト8へ!!
思い切り、スタートを切った。
3回、高崎商の攻撃。1死一、三塁で四番・木村の打球はレフトへの浅いフライ。タッチアップするには厳しい当たりにも見えたが、三塁走者の川浦は躊躇なくホームを目指した。
捕球したレフトが懸命にバックホームするが、送球は三塁側に大きくそれる間に川浦は悠々とホームイン。高崎商は貴重な1点を先制した。
1対0のまま迎えた8回には2死一、二塁から八番の今井がレフト前安打。前進守備を誣いていたレフトが前に来る当たりだったが、二塁走者の木村は迷わず三塁を蹴ってホームへ。レフトからの返球が再び三塁側に大きくそれて、待望の追加点を挙げた。
どちらも、レフトへの浅い当たり。だが、2人の走者はまったく止まる気配がなかった。
「(試合前)ノックのときから指示を出していました。サードコーチャー(背番号14の栗原)も判断力のある子なので」(住吉信篤監督)
レフトの肩の強さを見て、迷わず勝負すると決めていた。
2回2死二塁からレフト前安打でレフトがジャッグルしているにもかかわらず突っ込めず、先制点を逃した富岡とは対照的な走塁。走る勇気と迷いの有無が明暗を分けた。
金井(高崎商)
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この2つの走塁とともに、見逃せないのが身長191センチ、80キロの大型右腕・金井の好投。
初回を2三振と絶好の立ち上がりでスタートすると、2回以外毎回の12奪三振を記録。最速141キロの球威あるストレートで高めのボール球を振らせたかと思えば、四番の富岡容にはほとんど投げないチェンジアップで空振りを奪う余裕も見せた。
大型投手につきものの制球難が心配されたが、3四死球(2四球、1死球)と及第点の投球。「曲げようとしすぎてしまって、ひっかかる」と言う変化球を投げる際にまだ腕が振れないところがあるが、身長を生かした角度のある速球、体格、伸びしろなど、ひと冬越えれば面白い素材だ。
「(昨年センバツ出場時のエース)渡辺の方が、変化球もいいし、ピッチャーの精度としては上。でも、将来的には金井の方が楽しみですね」(住吉監督)
制球を乱した3回戦後の練習では、ブルペンで課題の変化球を投げる数を増やして投げ込み。この日は「変化球で打ち取れたのは自分でもデカいです」と金井本人も納得する内容だった。
住吉監督就任後は、秋に強い高崎商。ソフトバンク・斉藤和己が好きだというビッグエースが自信を得て、2年ぶりのセンバツを視界にとらえた。
(文=田尻 賢誉)