上尾vs羽生第一
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三宅・西舘(上尾)
新生、上尾高校!! 変革の秋
明らかに変わった。
新チームになり、高野和樹監督を迎えた上尾の取り組む姿勢だ。
あいさつは短縮語を使わず、しっかりとした日本語で言う。
試合前、後の整列やスタンドにあいさつをする際のおじぎも、深々と気持ちをこめてする。
四死球の際はバットを投げない。凡打をしても、道具に当たらない。かばんは向きをそろえてしっかり並べる。
以前はスタンドにいる部員たちは応援をせず、黙って座っていたが、この日は全員が立ち上がって声援を送っていた。
グランドでは、全力疾走とカバーリング。1球1球投手の後ろにバックアップに入る二遊間をはじめ、この姿勢が徐々にではあるが、浸透してきている。
OBでもあり、鷲宮を率いて秋春の県大会で優勝経験のある高野監督が就任して1ヵ月半。まだまだ100パーセントとはいかないが、選手たちは自分たちが変わり始めているのを感じている。
「『ありがとうございます』は言えるんですけど、『お願いします』がうまく言えないんです」
「今日、デッドボールでバットを投げちゃいました」
と何人かの選手は頭をかくが、できないことを自覚している分、よくなる可能性は大いにある。
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三宅・西舘(上尾)
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姿勢の変化はプレーにも表れる。
以前は素材にものをいわせ、個人プレーに走る選手が多かったが、今はそういう選手が減ってきた。
自分の役割を理解し、役目を全うする。
実力以上のことをやろうとせず、自分の力を把握し、できることを100パーセントやりきる。
この試合でいえば、9番の栗原が役割を果たした。
1、2打席目ともフルカウントまで粘って内野安打と相手失策で出塁。3打席目には送りバントを決め、4打席目にはスクイズを決めた。守備とバントを買われて起用されていることを理解し、自分の仕事に専念した結果だった。
「練習中のちょっとしたときでもダッシュするようになりました。そういうのが体力強化にもつながると思います」
と捕手の河合が言うように、練習の雰囲気も変わってきた。
以前はメンバー外の選手ばかりだった練習後の自主練習も、レギュラーを含めてほとんどの選手が残るようになった。気持ちの変化が、自信にもつながる。
「高野監督になって、どっしりと野球ができるようになりました。リードされていても、慌てずやれるようになってきたと思います」(主将・新井)
あとは、これを徹底し、さらに上を目指すだけ。
この日は第1試合だったにもかかわらず、上尾の選手たちは第2試合終了後にスタンドのゴミ拾いを行ってから帰った。こういう姿勢、気持ちがあれば、野球の神様も必ず味方してくれるはず。
変革の第一歩の秋。
上尾ナインは、県大会でも“チェンジ”し続けるつもりだ。
(文=田尻 賢誉)